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オテロ(1880-86) [トリスタン以後]

ヴェルディ(1813-1901)
「オテロ」(Otello, 1880-86)


--- ドラマ形式という点では、すべてが計算/熟考され尽くされ、新しい芸術の仕方を完全に受け入れたように見える。しかし発想においては、ああ、ヴェルディは何も変わっていない。彼は彼のままだ... "音楽=イタリア"は未だ失われてはいない。---

(批評家 Ugo Captti, 1887.2.5/ミラノ・スカラ座, オテロ初演)


 Lion_of_Venice.jpg
  Lion of Venice( from Wikipedia )


アイーダ (1870)、レクイエム (1873) 以降、作曲から遠ざかって農場経営に勤しんでいたヴェルディが、楽譜出版社リコルディの周到な根回しと強力な働きかけに押されて、十数年振りに書き下ろしたオペラ。その晩年を飾る充実作です。

台本はシェークスピアの「オセロ」がベースで、シモン・ボッカネグラ改訂版 (1881)でヴェルディの信頼を得た、アリゴ・ボイトによるもの。ちなみに、アリゴの兄 カミロも才人で、ゴシック・リバイバルの建築家として、また文筆家としても活躍。小説「センス (Senso, 1882)」は、ヴェネチア国際映画祭《金獅子賞》にノミネートされた、ルキノ・ヴィスコンティの「夏の嵐 (Senso, 1954)」…イル・トロヴァトーレ, フェニーチェ劇場の場面から始まる… の原作にもなっています。


さて、ヴェルディはここで前作「アイーダ」にもいや増して、より音楽と劇とが一体化した世界を探っていますが、其の垣間見せるクロマティックな表情でさえ、1883年に死去したワーグナーへの追憶に聞こえてきます,,,

Gruppo_di_famiglia.png
 ルキノ・ヴィスコンティ「家族の肖像 (1974)」


...世代のせい? 「Ludwig」のヴィスコンティ、「BANANA FISH」の吉田秋生、《山猫》で思い浮かぶのは?



--- 主な登場人物 ---

 オテロ;ムーア人で、ヴェネツィア領キプロスの総督
 デズデーモナ:オテロの妻

 イアーゴ :オテロの旗手
 エミーリア:イアーゴの妻で、デズデーモナの女中

 カッシオ:オテロの副官
 モンターノ:キプロスの前総督
 ロドリーゴ:ヴェネツィアの貴族



 Otello trailer (The Royal Opera)


・楽曲解説(アントニオ・パッパーノ, 10分弱)
 Why performing Verdi's Otello ranks among opera's greatest challenges
 https://youtu.be/R5JZGBhbK_Q



--- 開演 ---

第1幕:キプロス島の海に面した砦の外
沖合では将軍オテロの率いるヴェネツィア艦隊が、嵐の吹き荒れる海でのトルコ艦隊との海戦に勝利し戻ってくる。民衆が心配そうに見守る中、荒海の中やっとの事で接岸した軍艦からオテロが上陸してくる。オテロは歓呼して迎える民衆に「喜べ、高慢なる回教徒は海に沈んだ」と高らかに歌い、人々に送られて城の中に入っていく。

嵐も静まり人々は戦勝気分に酔って騒ぎ始める。デズデーモナにふられ沈んでいるロドリーゴのところへイアーゴが近づき、実は俺も黒人のオテロと副官のカッシオに恨みがある、きっと仇を討ってやると囁き、「乾杯の歌」を歌いながら断るカッシオにどんどん酒を勧め泥酔させる。その時、折から砦の見張りの番だと告げられたカッシオは、千鳥足で行こうとして皆に笑われ、前総督モンターノにも見咎められるので怒り、剣を抜いてしまう。イアーゴは騒ぎを煽り、城外は大騒動になってしまう。

騒ぎを聞きつけたオテロが砦から出てくる。カッシオは総督の出現に驚き剣を収めるが、すでにモンターノは傷ついている。また愛妻のデズデーモナまでが眠りを覚まされて出てきたのを見て、前任者をかような不祥事に遭わせ、彼女まで起こしてしまったと憤慨してカッシオを罷免し、皆に帰宅を命ずる。事の成り行きで夜更けの海岸に妻と二人っきりになったオテロは優しく彼女に話しかける、二重唱「もう夜も更けた」。オテロは妻に三度接吻しやさしく抱きしめる。

第2幕:城内の庭園
沈んでいるカッシオにイアーゴは復官のためにはデズデーモナに取り入るのが一番だと囁き、頷いて立ち去る彼の姿を見送りながら悪魔への信条「クレード」を歌う。庭に出てきたデズデーモナにカッシオが近づき取りなしを頼みこむ。しかしそのとき遠くにオテロの姿が見えるのでカッシオは逃げ去る。

イアーゴは現れたオテロに気づかぬふりをしながら、「何たることだと」つぶやき、オテロはそれを聞き咎める。イアーゴは、いや何でもないと思わせぶりに言い、問い詰めるオテロに、カッシオとデズデーモナについて奥歯に物の挟まった言い方でつぶやき、オテロに二人の関係について疑念を持たせる。

島民たちと船乗りたちがデズデーモナに花を捧げに来る。皆が立ち去ると彼女はオテロの執務室に入ってきてカッシオの赦免を願う。彼は疑いを裏書するような妻の願いに、だんだんと不機嫌になってくる。気づかぬデズデーモナは夫が普段のように言うことを聞いてくれないので意地になって主張する。そして脂汗を浮かべた彼の顔を拭こうとすると、オテロはハンカチを払い落とす。侍女のエミーリアがそれを拾い上げると夫のイアーゴがそれをひったくる。デズデーモナは甘えるように夫に許しを求め、オテロは妻の汚れなき顔を見て悩む。四人四様の心情を吐露した四重唱の後、デズデーモナとエミーリアは立ち去る。

オテロは妻への疑いを深め苦悩する、モノローグ「さらば栄光よ」。さらにイアーゴを捕えて証拠はどこにあるのかと詰め寄る。イアーゴは証拠はないが、カッシオが寝言でデズデーモナとの愛を呟いたと囁き、さらに彼が彼女のハンカチを持っていたと言うに及んで、オテロの怒りは爆発し、死神に復讐を誓う、二重唱「大理石のような天に誓う」。

第3幕:城砦の大広間
ヴェネツィア大使の軍艦が港外に見えたことが告げられる。イアーゴはオテロに、ここにカッシオを誘い出して不義の証拠を何とかお見せしましょうと言い、立ち去る。

そこにデズデーモナが現れ再びカッシオの赦免をと執拗に迫るので、オテロは妻に対する疑念をますます深め、自分が贈ったハンカチを持っているかと確かめると、彼女は持っておらず、当惑するのを見てついに彼女を「売女」と決めつけ、驚き悲しむ妻を立ち去らせ絶望して呟く、「神はすべての恥辱を私に与えるか」。

イアーゴがカッシオを連れて現れ、隠れているオテロに見え隠れにカッシオの情婦ビアンカの話を持ちかける。彼は笑いながらそれに応え、自分の家にこんなハンカチが落ちていたと例のハンカチを取り出す。イアーゴはそれをそっとオテロに見せ、カッシオを立ち去らせる。妻の不貞を確信したオテロはどうやって妻を殺すかと叫ぶ。イアーゴはあの汚れたベッドの上でと言う。

ヴェネツィア大使一行が到着し、島の主だったもの全てが集まってくる。大使はオテロにヴェネツィアへの帰還と後任はカッシオであることを伝える命令書を手渡す。オテロはそれを読み上げ、悲しげな妻にカッシオとの別れが辛いものと誤解し、彼女を罵倒し突き倒す。あまりのことに人々は驚愕しその場を立ち去る。一人残ったオテロは悶絶し、戻ってきたイアーゴが勝ち誇ったように「これがヴェネツィアの獅子か」と高らかに笑う。

第4幕:デズデーモナの寝室
デズデーモナはエミーリアに髪を梳かせながら「柳の歌」を歌い、彼女を退けて静かに「アヴェ・マリア」を唱えて床に就く。オテロが現れ、妻の不貞を責め、壮絶な二重唱「今夜の祈りは済ませたか?」となる。

無実を訴える妻の首を絞めデズデモーナがぐったりとなった時、扉をノックする音が聞こえ、エミーリアが駆け込んでくる。彼女はカッシオがロドリーゴを殺したことを告げる。その時、デズデモーナが虫の息で呟くのが聞こえる。驚くエミーリアに「わしが殺した」とオテロが言うので、エミーリアは大声で「デズデモーナが殺された」と叫ぶ。驚き皆が集まってくる。

その場でハンカチの件はエミーリアの口から明らかになり、ロドリーゴも死ぬ前にイアーゴの奸計を告白したとモンターノが告げる。すべてを知ったオテロは短剣で、自らの胸を刺し、最後に妻に三度接吻して事切れる。

--- 終演(約2時間20分) ---
(参考 Wikipedia)


---

今回参考にしたCDはこちら。チョン・ミュンフンとオペラ・バスティーユの蜜月の記録です。嵐で始まる音の奔流に飲み込まれてください。

 otello.jpg
「オテロ」全曲 チョン・ミョンフン&バスティーユ歌劇場、ドミンゴ、ステューダー、レイフェルクス(1993)

https://ja.wikipedia.org/wiki/オテロ_(ヴェルディ)

--- memo ---
 ナブッコ (Nabucco, 1840-41)
 エルナーニ (Ernani, 1843-44)
 マクベス (Macbeth, 1846-47, 仏語改訂1865)
 リゴレット (Rigoletto, 1850-51)
 イル・トロヴァトーレ (Il Trovatore, 1852-53)
 椿姫 (La Traviata, 1853)
 シチリア島の夕べの祈り (Les vêpres siciliennes, 1855)
 シモン・ボッカネグラ (Simon Boccanegra, 1856-57, 改訂1881)
 仮面舞踏会 (Un Ballo in Maschera, 1857-58)
 運命の力 (La forza del destino, 1861-62, 改訂1869)
 ドン・カルロ (Don Carlo, 仏語1866, 改訂1884-全4幕, 改訂1886-全5幕)
 アイーダ (Aida, 1870)
 オテロ (Otello, 1880-86)
 ファルスタッフ (Falstaff, 1889-92)

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