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現代音楽2017 記事一覧
2017年10月20日:  Kaija Saariaho, L'Amour de loin
2017年10月13日:  Valentin Sylvestrov, Diptych
2017年10月06日:  Sofia Gubaidulina, Offertorium
2017年09月29日:  Galina Ustvolskaya, Piano Sonatas
2017年09月22日:  Dmitrii Shostakovich, Violin Concert No.1
2017年09月15日:  Karlheinz Stockhausen, Tierkreis (Zodiac)
2017年09月08日:  György Ligeti, Musica ricercata VII
2017年09月01日:  Witold Lutosławski, Partita
2017年08月25日:  Luciano Berio, Sequenza
2017年08月18日:  Gérard Grisey, Espaces acoustiques

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Kaija Saariaho, L'Amour de loin [現代音楽2017]

ロシアと陸続きのフィンランドも多くの作曲家を生み出してしていますが、今年2017年は独立100周年ということで、最後はこの国で締めましょう。その作曲家たちの中からカイヤ・サーリアホ(1952 –)について。

出身地であるヘルシンキ、ドイツのフライブルクで勉強したのち、1980年、ダルムシュタットのサマーコースでスペクトル楽派のミュレイユ、グリゼイのコンサートに参加。それをきっかけに、1982年からはIRCAMでの作曲活動を開始し、コンピューターにアシストさせた作品を制作するようになります。

彼女が2000年に完成させたオペラ「L'Amour de loin (遥かな愛)」は、12世紀のトルバドゥール Jaufré Rudel が夢見る見知らぬ恋人を訪ねてフランス アキテーヌ(Blaye)から中東 レバノン(Tripoli)まで赴いたという伝説に基づくお話ですが、ザルツブルク音楽祭で初演されたのちも度々オペラハウスに取り上げられ、2016年にはMETでも上演されています。(サロネンが指揮したフィンランド国立オペラのDVDもあります。演出は初演時と同じピーター・セラーズ)


--- "L'Amour de loin" (2000) ---

 Kaija Saariaho: L`AMOUR DE LOIN | Landestheater Linz (Trailer)


このオペラの種とも言える15分ほどの作品「Lonh (1996)」もCDになっています。(タイトルはオック語で、"from afar"の意)

 saaroaho_gardens.jpg
 Saariaho - Private Gardens / Upshaw, Karttunen, et al


また、Jaufré Rudelの音楽も現存していて、聴くことができます。(6つの詩、内4つはメロディー付き)

 rudel_distant_love.jpg
 Distant Love -Songs of Rudel & Codax /Hillier, Lawrence-King


あとは、先のCDにも1曲収録されていますが、サーリアホのフルート作品は現代音楽のフルーティストの定番レパートリーになっているとのこと。(↓は、2013 Polar Music Prize授賞式での様子。もう一人の受賞者ユッスー・ンドゥールの姿も見えます。)

--- "NoaNoa" for flute & electronics (1992) ---

 NoaNoa - Anders Jonhäll (Kaija Saariaho)

 fin
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Valentin Sylvestrov, Diptych [現代音楽2017]

ウクライナとくれば、新体操やシンクロナイズドスイミングといった採点競技で高得点を挙げる、美人の国というイメージもありますが、
Anna-Bessonova.jpg
 Anna Bessonova(2008, Beijing)


それは置いといて、キエフ生まれのヴァレンティン・シルヴェストロフ(1937- )。伝統的な和声や旋法に回帰した、ポストモダンの作曲家の一人として知られています。


当初はモダンな作風だったそうです。それが、1974年のソ連作曲家同盟からの除名(1968年プラハの春に対する軍事介入への、欠席抗議も遠因とのことですが)を契機にモダニズムから離れたプライベートな作品を作り出すようになり、ソ連崩壊後には、ロシアやウクライナの正教礼拝音楽の影響を受けた作品を生み出すようになったとのこと。

作品数も多く、また全体像を把握してもいませんが、YouTubeから目を引いたものを紹介します。


--- ピアノのための小品集「キッチュな音楽 (Kitsch-Music, 1977)」 ---

Valentin silvestrov - Kitsch music N.1


Elements of Ukrainian nationalism occur in some of Sylvestrov's works, most notably in his choral work Diptych. This work sets the strongly patriotic words of Taras Shevchenko's 1845 poem Testament (Заповіт), which has a significant national status in Ukraine, and Sylvestrov dedicated it in 2014 to the memory of Sergey Nigoyan, an Armenian-Ukrainian who died in the 2014 Hrushevskoho Street riots and is believed to have been the first casualty of the events that led to the Euromaidan.(from Wikipedia)

--- 二連祭壇画(Diptych, 1995) ---

 Silvestrov: Diptychon - Groot Omroepkoor - Live concert HD (2016.1.31)

タラス・シェフチェンコ「遺言」

 死んだら私を葬ってくれ
 小高い塚の上に
 広いステップの真ん中に
 懐かしのウクライナに、
 果てしなき野 ドニエプル川 切り立つ岸が
 見られるように、
 荒れ狂う流れの咆哮るのが
 聞こえるように。

 ウクライナから敵の血汐を
 青い海へと
 河が押し流すとき.. そのとき私は
 野も山も
 すべてを棄て去り飛んでいこう
 神のもとへと、
 祈るため.. だがそれまでは
 神を 私は知らない。

 葬ってくれ 立ち上がってくれ
 くびきを断ってくれ
 そして忌まわしい敵の生血を
 この切なる思いに注いでくれ、
 そして私を大いなる家族
 自由にして新たなる家族の中で
 忘れずに追悼してくれ、
 やさしい穏やかな言葉にて。


---

 sylvestrov_chor.jpg
 ヴァレンティン・シルヴェストロフ: 汝のためにわれらは歌う ~宗教合唱作品集
 ・アレルヤ(2006)<夕べの祈り/朝の祈り/夜の祈り>
 ・典礼聖歌-抜粋(2005)<天使の歌/アレルヤ/聖なる神/アヴェ・マリア>
 ・二連祭壇画(1995)<主の祈り/遺言>
 ・2つの聖歌(2006)<平和への感謝/汝のためにわれらは歌う>
 ・2つの聖歌(2006)<アレルヤ/アヴェ・マリア>
 ・2つのクリスマスの子守歌(2006)<眠れ、イエス/静かな夜>
 ラトヴィア放送合唱団

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Sofia Gubaidulina, Offertorium [現代音楽2017]

旧ソ連の作曲家から、ロシア連邦タタールスタン共和国出身のソフィア・グバイドゥーリナ(1931 - )を取り上げます。

モスクワ音楽院在学中には、新たな音律を探求するなどして「でたらめな音楽」と周りから不興を買っていたグバイドゥーリナですが、1954年の卒業試験の際にショスタコーヴィチが、彼女の「誤った道を」進み続けるようにと激励したという逸話があります。

また、幼い頃からスピリチュアルなものへの興味があり、当然、ソビエト連邦下ではそれを隠していたのですが、1970年、伝説のピアニスト マリア・ユーディナが亡くなる直前に彼女から示唆を受け、同じロシア正教(Russian Orthodox)への改宗を決断。その後、「イン・クローチェ (In Croce, 1979)」や「最後の7つの言葉 (Sieben Worte, 1982)」といった宗教的なモチーフの作品を制作することになります。

「In Croce」はチェロとオルガンのための作品で、宗教的には十字架を、音楽的には2つの楽器の交差を意味したタイトルです。下の演奏は、オルガンの代わりとしてバヤン(ロシアのボタンアコーディオン)に編曲されたものです。


 Naiara De La Puente. Sofia Gubaidulina: "In Croce" (1979)


---

そんなグバイドゥーリナの名を西側世界に知らしめたのが、ラトヴィア出身のギドン・クレーメルに献呈されたヴァイオリン協奏曲「オフェルトリウム(Offertorium, 1980)」で、クレーメルの演奏活動によって世界中に認知されることとなります。

「Offertorium」というタイトルはミサ曲の「奉献唱」(祭壇にパンとぶどう酒を捧げる際に歌われる)から取られていますが、バッハ「音楽の捧げ物 (Musikalisches Opfer)」の王の主題で始まり、ロシア正教の賛美歌で終わる曲となっていて、彼女独自のスピリチュアルな感覚が作品全体を包んでいます。

音源だけですが、アラベラ・シュタインバッハーがドホナーニ指揮NDR交響楽団をバックに弾いたものがあったので、載せておきます。

 
 Arabella Steinbacher - Gubaidulina : Offertorium (2009, Live)



--- 私の作品はドミートリイ・ショスタコーヴィチとアルバン・ベルクから常に大きな影響を受けている。私の音楽そのものには明瞭な影響の跡は見られないが、自分自身であれという最も大切な教訓を教えてくれたのはこの二人の作曲家だった ---



ヴァイオリニストのシモーネ・ラムスマが、グバイドゥーリナのもう一つのヴァイオリン協奏曲「今この時の中で (In Tempus Präsens, 2007)」とショスタコーヴィチをカップリングしたCDをリリースしています。インタビュー動画があったのでこちらも参考まで。


 Interview with Simone Lamsma in Philharmonie Haarlem about Gubaidulina's 'In tempus praesens'


「In Tempus Präsens」では、バッハではなくベルクの音列が引用されています。最初のコンチェルトに比べるとやや散漫な中からシンプルな終結へと導かれますが、時折現れる天国的なサウンドが印象的な作品です。現代物を得意とするデ・レーウがサポートしています。

ちなみにショスタコーヴィチの演奏の方はどうかというと、ヒラリー・ハーン(ヤンソンス指揮)はクールで新古典的な趣、リサ・バティアシヴィリ(サロネン指揮)は細かい節回しでややロマンティック、に対してラムスマ(ガフィガン指揮)は一音一音の音色と響きに重点を置いた、同時代性を感じさせるものかと思います。

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Galina Ustvolskaya, Piano Sonatas [現代音楽2017]

旧ソ連の作曲家から、今度は、サンクトペテルブルク(生年当時ペトログラード)のガリーナ・ウストヴォルスカヤ(1919 - 2006)の作品を見てみます。1937-47年にレニングラード音楽院でショスタコーヴィッチに師事。ソ連国内でもヴァイオリンソナタだけは演奏されていたようですが、ソ連崩壊とともに西側でもその作品が取り上げられる機会が増えた作曲家です。

ショスタコーヴィッチの言葉:
"I am convinced that the music of G. I. Ustvolskaya will achieve worldwide renown, to be valued by all who perceive truth in music to be of paramount importance."

一方、ウストヴォルスカヤの言葉:
"There is no link whatsoever between my music and that of any other composer, living or dead."


 Camille_Claudel_La_Valse.jpg
  "La Valse" (Camille Claudel, 1905)


三角関係という意味では似ているので、先付けに、今年3月にオープンした Musée Camille Claudel の紹介動画を置きます。美術館の紹介記事は こちら


 À Nogent-sur-Seine, bientôt le premier musée Camille Claudel au monde.
 (演奏/アレンジ:大嶋 美帆子)


---

ウストヴォルスカヤの残した楽曲は少ないですが、その中では、6曲のピアノソナタが割と知られています。

ピアノソナタ(1947-1988):アレクセイ・リュビモフが2011年に催したピアノソナタ全曲演奏会から(各曲のほんのさわりがまとめて聴けます)

 Galina Ustvolskaya - The Six Piano Sonatas


ヴァイオリンソナタ(1952):こちらはコパチンスカヤ

 Ustvolskaya: Violin Sonata / Kopatchinskaja · Hinterhäuser


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彼女のピアノソナタ第6番が収録されたCDを紹介します。女性作曲家の作品が五つ集められているので、ヴァリエーションで楽しめると思います。(「女流」という言葉を嫌った、フェミニストのウストヴォルスカヤにとってはクソ食らえでしょうけど... 確信犯的にこの小文字タイトル? )

 1. アドリアーナ・ヘルツキー (1953- ) : Horfenster Fur Franz Liszt
 2. ヴァネッサ・ラン (1968- ) : Inner Piece
 3. ガリーナ・ウストヴォルスカヤ (1919-2006) : Piano Sonata No.6
 4. ソフィア・グバイドゥリーナ (1931- ) : Piano Sonata
 5. メレディス・モンク (1942- ) : Double Fiesta

tomoko_mukaiyama1.jpg
 "women composers" 向井山朋子(pf), 録音1994年

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Dmitrii Shostakovich, Violin Concert No.1 [現代音楽2017]

ソ連時代 (1922-1991) のロシアの作曲家/ピアニストであるドミートリイ・ショスタコーヴィチ (サンクトペテルブルク生まれ, 1906-1975) も、メシアン (1908-1992) と同じく20世紀生まれですから現代音楽のカテゴリーに入れておきましょう。


ロシアの哀愁漂うリリシズムと演奏者のヴィルトゥオジティを満喫できる曲として、コンサートレパートリの定番になっているのがヴァイオリン協奏曲第1番 (1947–48)。


 Shostakovich: Violin Concerto No. 1 /
  Hahn · Jansons · Berliner Philharmoniker(サントリーホール, 2000)

(興味があれば比較参考に,,, )
 Moné Hattori 服部百音 / ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番


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こちらは、スターリンが途中退席した「ムツェンスク郡のマクベス夫人 (1930–32)」


 Trailer LADY MACBETH VON MZENSK – Conductor: Kirill Petrenko

--- 開演 ---

第1幕:第1場:町の商人、イズマイロフの家
 製粉所の事故で家を空けることになった夫ジノーヴィーを、愛情の冷めた目で見送るカテリーナ。
Intermezzo : Largo
第2場:イズマイロフ家の中庭
 新入りセルゲイを中心にした使用人達の女中セクハラ騒動。カテリーナが制止。
Intermezzo : Allegro con brio
第3場:カテリーナの寝室
 使用人セルゲイがカテリーナを無理やり... 愛人関係に。

第2幕:第4場:イズマイロフ家の中庭
 スケベで口うるさい舅を殺鼠剤入りきのこ料理で殺害。
Intermezzo : Largo (passacaglia)
第5場:カテリーナの寝室
 愛人セルゲイとまどろんでいる時に、夫ジノーヴィーの突然帰還。殺害。

第3幕:第6場:イズマイロフ家の中庭
 カテリーナとセルゲイの結婚式当日。農民が穴蔵からジノーヴィーの遺体発見。
Intermezzo : Allegretto
第7場:警察署
 死体発見の通報。
Intermezzo : Presto
第8場:イズマイロフ家の中庭での祝宴
 逮捕。

第4幕:第9場:シベリア行きの途中、河のほとりの宿営地
 セルゲイ、若い女囚ソニェートカに目を付ける。それに気付いたカテリーナ、ソニェートカを河に突き落とし、自分も後を追い自殺。

--- 終演 ---



---

ついでに、例の「証言」以降、迎合か諧謔か演奏者と聞き手の解釈を揺さぶる彼のSymphonyをWikipedia(en)の時代区分に従って並べてみました。

15曲もあるので色々な探索コースが選べますが、まずは取下げた4番と差替えの5番を比較して、次に戦争中の7番8番を見て早々に切り上げても、手軽なハイキングコースとしては良いのではないでしょうか。

少年期
 ・Symphony No. 1 (Op. 10, 1924–1925)
   - 19歳の時に書かれた音楽院卒業作品
初期のキャリア
 ・Symphony No. 2 "To October" , with chorus (Op. 14, 1927)
   - 十月革命10周年記念日を讃えるための委嘱作品
 ・Symphony No. 3 "The First of May" , with chorus (Op. 20, 1929)
   - 全世界のプロレタリアートが連帯するこの祝日
 ・Opera「ムツェンスク郡のマクベス夫人」(Op. 29, 1930–32)
最初の弾劾 (1936)
 プラウダ批判:「マクベス夫人」は形式主義者の、"粗野、野蛮、低俗"な音楽
 第4交響曲の撤回
 ・Symphony No. 4 (Op. 43, 1935–36)
   - 「ショスタコーヴィチが作品を撤回」との声明とともに初演中止
 "正当な批評に対するソヴィエト芸術家のクリエイティブな返答"
 ・Symphony No. 5 (Op. 47, 1937)
   - 「革命」という副題は欧米では使用されないそう
 ・Symphony No. 6 (Op. 54, 1939)
   - 「春、喜び、若さの気分を伝えたかった」
第2次世界大戦
 ・Symphony No. 7 "Leningrad" (Op. 60, 1941)
   - レニングラード包囲、記念墓地には犠牲者50万が眠る
 ・Symphony No. 8 (Op. 65, 1943)
   - スターリングラード攻防戦の犠牲者を悼む作品とも
 ・Symphony No. 9 (Op. 70, 1945)
   - Beethoven第9番を企図したが、ソロも合唱もない作品に帰結
再度の弾劾 (1948)
 ジダーノフ批判:ショスタコーヴィチや他の作曲家(プロコフィエフ、ハチャトリアンなど)を形式主義者の音楽だと糾弾
 ・Oratorio「森の歌」(Op. 81, 1949)
 ・Symphony No. 10 (Op. 93, 1953)
   - スターリンの死後、久々に発表された交響曲
 ・Symphony No. 11 "The Year 1905" (Op. 103, 1957)
   - 「血の日曜日事件(1905)」を題材とする
共産党入党
 ・Symphony No. 12 "The Year 1917" (Op. 112, 1961)
   - レーニンによる十月革命(ロシア革命)を題材とする
 ・Symphony No. 13 "Babi-Yar" (Op. 113, 1962)
    for bass, bass chorus and orchestra
   - ナチス・ドイツによるユダヤ人虐殺が行われた、ウクライナの峡谷名
1964以降
 ・Symphony No. 14 (Op. 135, 1969)
    for soprano, bass, string orchestra and percussion
   - ベンジャミン・ブリテンに献呈された、死をテーマとした作品
 ・Symphony No. 15 (Op. 141, 1971)
   - 他作、自作からの引用が見られる作品

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Karlheinz Stockhausen, Tierkreis (Zodiac) [現代音楽2017]

前回に続いて苦手な作曲家を取り上げます。ドイツ出身、幼くして母親と別れ、戦争中に両親を失ったカールハインツ・シュトックハウゼン(1928 - 2007)。彼の無味乾燥な「クラヴィーア・シュトゥック」や「テープのための音楽」はどこが面白いのか不明ですが、
wasuta_nyan2.png
現代音楽を牽引してきた人には違いないにゃん。


で、そのシュトックハウゼンの作品ですが、アナログレコードの時代、ロニー・ロゴフの「バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第1番、第2番」にカップリングで「Zodiac (十二宮)」からの6曲が入っていました。作曲者は「えっ、これが僕の作品かい?」と言ったとか、でもロゴフ流に還元されたこの演奏を、僕は気に入って聴いていたのでした。(「銀の三角」の川辺の歌は、斯くの如しかと)


ティアクライス (Tierkreis:独=Zodiac:英, 1974–75)は、もともとはオルゴールで演奏されることを想定したもので、黄道十二宮の12の星座を、12のメロディーで表わしています。作品(作曲者自身によるオーケストラ版)の詳細については、以下のリンク先に書かれているのでご参考に。

 http://matsudaira-takashi.jp/stockhausen/tierkreis_orch/


参考動画。様々な楽器編成&編曲の演奏がありますが、こんな感じというところで。
(このZodiac、YouTubeで探すと色々出てきて、意外と人気曲なのかしらん?)

・おうし座

 Karlheinz Stockhausen - Tierkreis: 4. Taurus

・おとめ座

 Karlheinz Stockhausen - Tierkreis: 8. Virgo


参考CDには、ケルン ザンクトペーター教会でのパイプオルガン独奏によるものをあげます。3曲毎に演奏者のインプロヴィゼーションが入りますが、これはカオスですね。それを背景に、上記教会オルガンの多彩な音色による星座が煌きます。

 stockhausen_tierkreis.jpg
 シュトックハウゼン: 「ティアクライス(黄道十二宮, 1974-75)」
  星座のための12のメロディー(オルガンによる), ドミニク・ズステック


また関連CDとして、以下のものもあげておきます。ジャンル的にはアヴァンギャルドと言うのでしょうか、シュトックハウゼンとは対岸から見た星空ですね。こちらもキラキラしています。

 John_Zorn_Kristallnacht.jpg
 ジョン・ゾーン:「クリスタルナハト(水晶の夜, 1993)」

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György Ligeti, Musica ricercata VII [現代音楽2017]

ジェルジュ・リゲティ(1923-2006)は、ルーマニア領トランシルヴァニア生まれ、ハンガリーのユダヤ人作曲家。映画「2001年宇宙の旅(1968)」で彼の楽曲が使用されていることで有名です。正直言って苦手な作曲家なので、取り上げるつもりはなかったのですが...

wasuta_nyan.png
 モノリス (リゲティ) を威嚇する、わーすたにゃんの図


ムジカ・リチェルカータ(Musica ricercata, 1951-53)、これはハンガリー動乱(1956)が起こる前に書かれた曲ですが、に良い動画があったので載せることにします。この頃はまだ、バルトーク風味の感じられる、親しみ易い曲も書いています。(この第7番、ブニアティシヴィリのアルバム「Motherland」にも入ってたし、人気曲なのかしらん?)

・ピエール=ロラン・エマール

 György Ligeti: Musica ricercata No. 7

・キャシー・クリエ

 Ligeti : Musica, Ricercata VII, par Cathy Grier


ソ連による動乱鎮圧の後にリゲティはウィーンへと亡命しますが、ここからどうやって道を間違えたのか、グラン・マカーブル (Le Grand Macabre, 1974–77, rev.1996)という悪趣味なオペラを作って、これが結構上演回数を重ねているのですから、世の中とは不可思議なものです... 音楽界のダース・ベイダーと言ったら褒め過ぎか?


Ligeti: Mysteries of the Macabre / Hannigan · Rattle · Berliner Philharmoniker


--- Musica ricercata ---
I. Sostenuto – Misurato – Prestissimo
 2音:A, D
II. Mesto, rigido e cerimoniale
 3音:E♯, F♯, G
III. Allegro con spirito
 4音:C, E, E♭, G
IV. Tempo di valse (poco vivace – 手回しオルガン風に)
 5音:A, B♭, F♯, G, G♯
V. Rubato. Lamentoso
 6音:A♭, B, C♯, D, F, G
VI. Allegro molto capriccioso
 7音:A, B, C♯, D, E, F♯, G
VII. Cantabile, molto legato
 8音:A♭, A, B♭, C, D, E♭, F, G
VIII. Vivace. Energico
 9音:A, B, C, C♯, D, E, F♯, G, G♯
IX. Adagio. Mesto – Allegro maestoso (バルトークの追憶に)
 10音:A, A♯, B, C, C♯, D, D♯, F, F♯, G♯
X. Vivace. Capriccioso
 11音:A, A♯, B, C♯, D, D♯, E, F, G♭, G, G♯
XI. Andante misurato e tranquillo (フレスコバルディへのオマージュ)
 12音:A, A♯, B, C, C♯, D, D♯, E, F, F♯, G, G♯

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Witold Lutosławski, Partita [現代音楽2017]

東欧圏のポーランドも現代音楽の有名作曲家を輩出している国ですが、その中から、現代音楽でも「古風」な作風で知られるヴィトルト・ルトスワフスキ(1913-1994)の作品を紹介。

代表作を拾っていくと、
 出世作となった「管弦楽のための協奏曲 (1950-54)」
1980年代に入ってからの、
 ショルティ&シカゴ交響楽団によって初演された「交響曲第3番 (1973–83)」
 クリスティアン・ツィメルマンのために書かれた「ピアノ協奏曲 (1987–88)」
 アンネ=ゾフィー・ムターが初演のソリストを任された「チェインⅡ (1984–85)」
 それと、ヴァイオリンとピアノのための「パルティータ (1984)」
などがあります。


--- 交響曲第3番 (1973–83) の一部 ---

 Lutosławski: Symphony No. 3 / Rattle · Berliner Philharmoniker


--- ヴァイオリンとピアノのためのパルティータ (1984) ---

 W.Lutoslawski-Partita


武満徹に向かって「トオル、メロディーについて考えているか? 」、「はい」、「これからの作曲家も常にメロディーのことを考えなければならない」とルトスワフスキは語ったそうで、今後、両者の作品がどのような道を辿るのかは神のみぞ知るですが、このような「甘い」音楽が必要とされることもあるでしょうね。

 anne_sofie_mutter1.jpg
 アンネ=ゾフィー・ムター スペシャル・インタビュー, 2013

 takemitsu_requiem.jpg
 Performance of Takemitsu's Requiem, March 17, 2011


p.s.
今日9/1は防災の日、去年4/14の熊本地震の余波が残る中でのエビ中、福岡公演からの公式音源です。(本編が終わった後のMCからスタートさせます。廣田あいかのいないエビ中は想像できない。)
 
  私立恵比寿中学 Live at Fukuoka 160501 Digest(Audio Only)
  「手をつなごう」「頑張ってる途中」「スーパーヒーロー」

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Luciano Berio, Sequenza [現代音楽2017]

フランス パリから離れて隣国のイタリアへ行くと、ルチアーノ・ベリオ(1925 - 2003)という著名な作曲家がいます。

ベリオ晩年の収穫はというと、プッチーニ最後のオペラ「トゥーランドット」の補筆完成版でしょうか。このオペラ本来はリューが自刃した箇所以降が未完で、生前親交のあった作曲家アルファーノによって補作された、カラフとトゥーランドット、二人の世界で能天気に締めくくるフィナーレがあるのですが、これを指揮者リッカルド・シャイーの委嘱を受けてベリオが新規に作り直したものです。(2002年のザルツブルク音楽祭がこのベリオ完成版の舞台お披露目となりました。日本での初演は2005年の藤沢市民オペラになります。)

 ドイツ カッセルのオペラハウスの予告編

 Turandot – Trailer (von Giacomo Puccini, Schlussduett und Finalszene von Luciano Berio)


あとクラシック音楽と関連のあるものとしては、ニューヨーク・フィルハーモニックの125周年記念として委嘱された「シンフォニア (Sinfonia, 1968-69)」が、マーラーの「復活」第3楽章をベースにしたコラージュ作品としてよく知られています。

 Berio - Sinfonia 3rd movement


もっと純粋な音楽としては、ライフワークとも言える一連のソロ器楽曲「セクエンツァ」が、さすがイタリア人「楽器にだって恋をするのさ」と"Amore"が感じられる聞き応えのある作品に仕上がっています。

その中から、女声のための Sequenza III の動画があったので紹介します。

 SEQUENZA III, Luciano Berio


何種類か全曲盤が出ているようですが、僕の手元に有るのは Sequenza XIV が書かれる以前にリリースされた、下の3枚組のCD。
 berio_sequenza.jpg
 ベリオ:セクエンツァ, アンサンブル・アンテルコンタンポラン


 --- The various Sequenza are as follows ---
    (Verses by Edoardo Sanguineti)

 Sequenza I - フルートのための (1958)
  そしてここに君の欲望は始まる、僕の欲望の錯乱が
  音楽は欲望の中の欲望だ

 Sequenza II - ハープのための (1963)
  僕は色彩のチェーンを聴いた、筋肉質で力強い
  僕は君の荒々しくゴツゴツしたノイズを感じた

 Sequenza III - 女声のための (1966)
  僕は君の言葉を欲した、そして慌てて、それらを壊そうとも
  そして僕は自身を壊そうと欲した、遂に、真から

 Sequenza IV - ピアノのための (1966)
  僕は君のたくさんの鏡から自身を引っ張り出そうとした
  僕は自身を変容させる、静脈、足
  僕は君の瞳に閉じ込められる

 Sequenza V - トロンボーンのための (1965)
  僕は君に言う、何故?何故? そして僕はピエロの皮肉な顔
  何故君は知りたいの? 何故僕が何故というのかを

 Sequenza VI - ヴィオラのための (1967)
  僕の気まぐれな激怒は、かつて君の青ざめた穏やかさだった
  僕の歌は、君の非常にゆっくりとした沈黙になるだろう

 Sequenza VII - オーボエのための (1969)
  君の横顔は僕の凶暴な景色の一つ、少し距離を置いて
  それは安っぽい偽物の愛の炎、死んでいる

 Sequenza VIIb - ソプラノ・サクソフォーンのための
   (adaptation by Claude Delangle in 1993)

 Sequenza VIII - ヴァイオリンのための (1976)
  君のために僕は、僕の声、言葉、母音を重ねる
  そして今や、僕は叫ぶ、君は僕の呼格だと

 Sequenza IXa - クラリネットのための (1980)
  君は不安定でかつ不動、僕の脆いフラクタル
  それは君、震えている僕の折れたフォルム

 Sequenza IXb - アルト・サクソフォーンのための (1981)
  僕の脆いフォルム、君は不安定でかつ不動
  それは君、震えている僕の折れたフラクタル

 Sequenza IXc - バス・クラリネットのための
  (adaptation by Rocco Parisi in 1998)

 Sequenza X - トランペット(C管) とピアノ共鳴のための (1984)
  僕の限界を描き、僕をエコーの中に、反響の中に留める
  長々と、何気なく、僕のための僕、僕のための君になる

 Sequenza XI - ギターのための (1987–88)
  僕は君を再び見出した、僕の不自然で幼稚なダンスもどき
  僕は君を円の中に囲った、そして僕は君を妨げ、混乱させる
  
 Sequenza XII - ファゴットのための (1995)
  僕は非常にゆっくり動く、君を全ての側面から見る
  小面を探検し、触れる、物思いにふけって
  僕は君をこっちへあっちへと向かせ、変化させる、震えながら
  僕は君を苦しめる、怯えながら

 Sequenza XIII - "Chanson" アコーディオンのための (1995)
  そうしてコードは僕たちを慰労し、優しく包み込む、普通はね
  破局を孕んで、僕たちの心に、けれど限定的であり続ける、根強くね

 Sequenza XIVa - チェロのための (2002)

 Sequenza XIVb - コントラバスのための
  (adaptation by Stefano Scodanibbio in 2004)



タグ:シャイー
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Gérard Grisey, Espaces acoustiques [現代音楽2017]

スペクトル楽派の創始者の一人、フランスの作曲家ジェラール・グリゼイ(1946 – 1998)の作品を見てみます。ちなみにスペクトル楽派では、音のスペクトル分析をしたり、電子的に作った音響スペクトルを合成したりといった作曲技法を使うそうです。

代表作は「音響空間(Les espaces acoustiques, 1974-85)」ですが、アンサンブル・アンテルコンタンポランの公式動画に全曲がアップされています(太っ腹ですね)。記念碑的な作品なので、一度は目を通しておけば、と思います。

「音響空間」というタイトル通り、メロディもリズム感も希薄な「音楽以前」とも言える6つの楽曲?(各15分程)から構成されますが、最初が "Violaソロ"、最後は"大オーケストラ+4本のホルン"と順を追って音響母体の規模が大きくなっていきます。

共に緻密な音楽ですが、ブーレーズが「完成された様式美」を見せるのに対して、(うまくいけば)こちらには「進歩したテクノロジー利用による可能性」が見てとれるかと思います。


--- 音響空間 (Les espaces acoustiques) ---

 I. Prologue (プロローグ, 1976)
  – for viola and optional live electronics
 II. Périodes (周期, 1974)
  – for flute, clarinet, trombone, violin, viola, cello, and double bass
 III. Partiels (倍音, 1975)
  – for 18 musicians


 Gérard Grisey, Espaces acoustiques 1/2 - Ensemble intercontemporain


 IV, Modulations (変調, 1976–77)
  – for 33 musicians
 V. Transitoires (過渡, 1980)
  – for large orchestra
 VI. Epilogue (エピローグ, 1985)
  – for 4 solo horns and large orchestra


 Gérard Grisey, Espaces acoustiques 2/2 - Ensemble intercontemporain


スペクトル学派のこのような方法論は、IRCAM(フランス国立音響音楽研究所)で学んだ音楽家たちに影響を与え世界中に拡散していて、例えば日本の作曲家では、金子仁美が「グリゼイの墓 (2000)」という師を偲んだ作品を作っていたりもしています。その作品のCDも出ていますが、彼女が編曲したシャンソン3曲(枯葉、バラ色の人生、ムーラン・ルージュ)が含まれた、ギター作品集をここでは紹介します。

 ohagi_yasuji.jpg
 天の三羽の鳥~ギターで聴く珠玉のフランス音楽~、大萩康司

収録曲(全曲フランス音楽)などの詳細は、以下の記事でご確認を。
 デビュー15周年を迎えたクラシック・ギタリスト大萩康司(2016/03/01)

タグ:大萩康司
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