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ベートーヴェンの後期カルテット [クラシック音楽2017]

前回はベートーヴェンの後期ピアノソナタでしたが、今回は後期弦楽四重奏曲です。彼の書いた弦楽四重奏曲は全部で16曲あり、初期が6曲、中期が5曲「ラズモフスキー第1番〜第3番 」「ハープ」「セリオーソ」、そして後期が5曲で、これらは交響曲第9番(1824)以降に完成された作品になります。


 弦楽四重奏曲 第12番, E♭ major Op.127 (1825) --- 4楽章構成
 弦楽四重奏曲 第15番, A minor Op.132 (1825) --- 5楽章構成
 弦楽四重奏曲 第13番, B♭ major Op.130 (1825) --- 6楽章構成
       大フーガ, B♭ major Op.133 (1825-26)
 弦楽四重奏曲 第14番, C♯ minor Op.131 (1826) --- 7楽章構成
 弦楽四重奏曲 第16番, F major Op.135 (1826) --- 4楽章構成


作曲順に並べてみましたが、二つ目の第15番作曲中の1825年4月に、ベートーヴェンはひと月程病床につくことになります。そこから快復した喜びを「リディア旋法 (modal F) による、病より癒えたることの神への聖なる感謝の歌」と題して楽章追加したため第15番は5楽章構成となりますが、その後の創作でも楽章数が1個ずつ増えていってます。

内容的に見ても、作品が進むにつれ次第に時代を超越し、遂には"God"の領域へと踏み込むという風で、思わず「お前、サイヤ人か!」と突っ込みたくなる程です。


 momoclo_Z.jpg
 Pledge of “Z”/MOMOIRO CLOVER Z
 「Dragon Ball Z: Resurrection ‘F’」THEME


何か邪気が入りましたが... また、最後の最後で4楽章構成の古典的な形式に立ち返り、「やんちゃな笑顔」を見せるという演出も"good"です。


いい加減にして、参考動画を置きます。

BEETHOVEN // STRING QUARTET , OP.130 // Edding Quartet // Video directed by Benjamin Trade


おすすめCDは、上の動画でピリオド楽器を演奏している Edding Quartet でいいような気がしてきました。次のリリースが出るかどうかも分からないけど、それを期待してゆっくりと待ちながら、というのもありかも知れません。(まあ僕は Melos Quartett のものが手元にあるので、他の曲が聴きたくなってもそんな困らないし... )

あと、このCDには第13番が収録されていますが、初演時と同様、第6楽章に「大フーガ」を置いた形をとっていて、この名曲をより一層引き立てています。トータルで50分と、彼のカルテットの中でも最長を誇るこの曲、midsummer チューンとしてどうぞ。



最後に、第9交響曲の歌詞の一部をあげて終わりにします。

 --- An die Freude ---
  Friedrich Schiller(1759-1805)

 Freude, schöner Götterfunken, / 歓喜、美しい神々の火花、
 Tochter aus Elysium, / 楽園の娘。
 Wir betreten feuertrunken, / 私たちは炎に酔いしれ踏み入る、
 Himmlische, dein Heiligtum! / 天なるもの、あなたの聖域へ!

 Deine Zauber binden wieder, / あなたの魔法はもう一度結びつける、
 Was die Mode streng geteilt, / モードが強力に分け隔てていたものを。
 Alle Menschen werden Brüder, / 全ての人は同胞となる、
 Wo dein sanfter Flügel weilt. / あなたの柔らかな翼が留まるところで。

7000万回以上再生されている有名なフラッシュモブ動画を添えて。


 fin
タグ:ももクロ

ベートーヴェンの後期ピアノソナタ [クラシック音楽2017]

ハイドン、モーツァルトに続くウィーン古典派の3人目の巨匠、ベートーヴェン(Ludwig van Beethoven, 1770-1827)へと移ります。

1787年(ドン・ジョヴァンニの作曲年)、16歳のベートーヴェンはモーツァルトを訪問するため、ボンからウィーンへと旅をしていますが、実際に出会えたのかどうかははっきりしていないようです。ともあれ、ベートーヴェンが本格的に作曲活動を行うのは、モーツァルトの死後ということになります。

先ずはモーツァルトを偲んで、彼のピアノ曲から、1786年春の予約演奏会のために書かれたK.488のピアノ協奏曲を。(演奏しているのは、オオカミの保護活動でも知られるエレーヌ・グリモーです。「野生のしらべ」という著作もあり、このMVもそれを意識したものになっています。)


 Hélène Grimaud - Mozart - Piano Concerto No.23, 2. Adagio (Official Video)


1792年にハイドンに師事するためウィーンへ移り住んだベートーヴェン。1795年に作曲されたピアノソナタ第1番〜第3番(Op.2)にもすでにその片鱗を窺わせますが、フレーズを切り詰めてドラマティックに構築されるベートーヴェンに特徴的な音楽は、1803年のピアノソナタ第21番「ワルトシュタイン」(Op.53)、1804年の交響曲第3番(Op.55)で明確な形を示します。その辺りからが中期と呼ばれる時代で、おおよそ、交響曲第7,8番(Op.92,93)が作曲された1811-12年までの期間を指します。

後期のピアノソナタはそのあと、交響曲第9番(Op.125)の完成された1824年までの間に作曲されたものです。

 ピアノソナタ第27番 ホ短調 Op.90 (1814)
 ピアノソナタ第28番 イ長調 Op.101 (1816)
 ピアノソナタ第29番 変ロ長調「ハンマークラヴィーア」Op.106 (1817-18)
 ピアノソナタ第30番 ホ長調 Op.109 (1820)
 ピアノソナタ第31番 変イ長調 Op.110 (1821-22)
 ピアノソナタ第32番 ハ短調 Op.111 (1821-22)

音楽の構成感が少し自由になり、ロマンティックな表情も垣間見せる作品群になっています。あと興味深い話としては、「ハンマークラヴィーア」ソナタは当時のピアノでは全音階を弾くことが不可能だったということ。作曲当時ベートーヴェンは2台のピアノを所有していて、第1〜3楽章まではシュトライヒャー製でなければ高音域が演奏できず、第4楽章はブロードウッド製(第3楽章作曲中に手に入れた)でなければ低音域が演奏できなかったという。さすが、“ここに1曲ソナタがあるけど、ピアニスト泣かせのね、でも50年も経てば弾かれるようになるだろう” と出版社に告げていたベートーヴェンです。尚、それ以降のソナタはブロードウッド向けに書かれたようです。


 
 BEETHOVEN - Piano Sonata No. 30 in E Major, Op. 109: I. Vivace ma non troppo - François-Frédéric Guy

 
 BEETHOVEN - "Hammerklavier": IV. Largo - François-Frédéric Guy


ベートーヴェンのピアノソナタを丁寧に聴き直してみたいという方には、アンドラーシュ・シフの、全ての音に意識が通っているかのようなコントロールの効いた演奏があるので、こちらをどうぞ。(来日記念ということで、バラ売りが廉価で再発となっています。)

 Schiff_7.jpg Schiff_8.jpg
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集 第7巻 ソナタ第27番-第29番
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集 第8巻 ソナタ第30番-第32番


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これら高邁なピアノソナタの後に、愛すべき「ディアベリ変奏曲」Op.120 (1819-23) を持ってくるのも彼らしいと言えばいいのか、第22変奏ではモーツァルト「ドン・ジョヴァンニ」第1幕冒頭の「夜も昼もあくせくと(Notte e giorno faticar)」が引用されています。ご主人ドン・ジョヴァンニが女遊びに勤しんでいる時に、見張りをさせられてるレポレッロが「貴族様になりてーよ」と歌うあれです。(ちなみに下のミュリエル・シュマンのCD、気ままな曲想と上下のフレーズ関係を良く捉えた、雑味のない仕上りになっています。)


 Muriel Chemin – DIABELLI VARIATIONS – Artist portrait


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ところで上のアルバムと同日に発売された「エビクラシー」、オリコンとビルボードジャパンの週間ランキングで1位獲得ということで、お祝いに「七重奏曲」も揚げましょう。エビ中ワンダーランドの今後の発展を期待して。

 Ludwig van Beethoven Septet op.20. III: Tempo di minuetto. Kölner Kammersolisten

モーツァルトの「フィガロの結婚」 [クラシック音楽2017]

モーツァルトで、弦楽四重奏曲集「ハイドン・セット」(1782-1785) に続く有名作品は、オペラ「フィガロの結婚 」(Le Nozze di Figaro K.492, 1786)です。誰でも名前は知っている人気オペラですが、日本で舞台初演されたのは1952年歌舞伎座にてと、ほんの半世紀ほど前のこと。今ではいくらでも鑑賞手段があるのですから便利な世の中ではあります。

--- フィガロの結婚 ----
 音楽:モーツァルト、脚本:ダ・ポンテ、原作:ボーマルシェ

舞台は、18世紀半ばのスペイン・セヴィリア近郊のアルマヴィーヴァ伯爵邸

主な登場人物は、

 フィガロ:床屋(兼何でも屋) / スザンナ:小間使い(フィガロの婚約者)
 アルマヴィーヴァ伯爵 / 伯爵夫人ロジーナ
 ケルビーノ:伯爵の小姓 / バルバリーナ:庭師の娘
 ドン・バルトロ:医者 / マルチェリーナ:女中頭
 ドン・バジーリオ:音楽教師 / アントニオ:庭師

これらの人物による、伯爵の「初夜権復活」をめぐる駆け引き(狂乱の一日)を描いたコメディーです。

・序曲

 Le Nozze di Figaro ; Overture : René Jacobs, Concerto Köln (2004)

・ケルビーノの「恋とはどんなものかしら」

 Le nozze di Figaro ; "Voi che sapete che cosa è amor" : Angelika Kirchschlager

このアリアが出てくる第二幕だけ簡単になぞってみます。

--- 第二幕 (アルコーブと3つの入口のある豪華な部屋) ---

第1場:伯爵夫人ひとり 続いてスザンナとフィガロ
 Cavatina(伯爵夫人): "お与えください 愛の神よ 慰めを"
  Recitativo: "さあ かわいいスザンナ"
  [フィガロの策略説明]

第2場:伯爵夫人 スザンナ ケルビーノ
  Recitativo: "悲しいことね スザンナ"
 Arietta(ケルビーノ): "あなた方は知ってますよね 恋って何なのかを"
  Recitativo: "すてき!何てきれいな声なの!"
 Aria(スザンナ): "こっちに来て 膝をついて"
  [ケルビーノに女装させてみる]
  Recitativo: "ちょっとふざけ過ぎではないかしら!"

第3場:伯爵夫人と狩の服装の伯爵
  Recitativo: "どうしたのだ?お前 鍵などしたことがなかったろうに"
 Terzetto(伯爵 伯爵夫人 傍目からスザンナ): "スザンナ さあ出ておいで"
  Recitativo: "だから、開けないのか?"
  [伯爵と伯爵夫人退場]

第4場:スザンナとケルビーノ
 Duettino(スザンナ ケルビーノ): "開けて 急いで 開けて"
  [スザンナと入れ替わりで、ケルビーノは窓から飛び降りる]
  Recitativo: "ああ 見て あの悪魔!何て逃げ足!"

第5場:伯爵夫人 手にハンマーとトングを持った伯爵
  Recitativo: "全部さっきのままだな"

 Finale:
第6場:伯爵夫人と伯爵 "出て来い 悪辣な小僧"
第7場:++スザンナ [まさかのスザンナ出現] "スザンナ!"
第8場:"スザンナ 私は死にそうよ"
第9場:++フィガロ "皆様方 外には もう楽師たちが来ております"
第10場:++庭師アントニオ "ああ、殿...殿.. / 一体何ごとだ"
    "じゃお前のだな この紙は"
第11場:++マルチェリーナ バルトロ バジーリオ "あなた様 殿 常に正しきお方"
最終場:"混乱して おお/ 驚いて おお"


と、最初の方はRecitativo(歌セリフ)と歌唱を交えてゆっくりと物語が進行して行きますが、終盤フィナーレでは登場人物があれよあれよと増えていき、大盛り上がりで幕切れとなるのでした。


このオペラの初演はウィーンのブルク劇場で、高評価は得るものの9回の上演で打ち切られます。しかし、プラハで大当たりし、翌年同地で、モーツァルト&ダ・ポンテの2作目「ドン・ジョヴァンニ」(Don Giovanni K.527, 1787)が上演される運びとなったとのこと。

 Burgtheater.jpg
 (リング沿いにある現在のブルク劇場)

ちなみに、ボーマルシェ「フィガロ3部作」の第2部がオペラ化されたものがモーツァルトの「フィガロの結婚 (1786)」、第1部がロッシーニの「セヴィリアの理髪師 (1816)」、さらにモーツァルト作品のリメイクとも言えるのがリヒャルト・シュトラウスの「ばらの騎士 (1909-10)」という流れです。

オススメCDには、各声部が生き生きと聴こえる、以下のものをあげておきます。ただこの曲 Recitativoも多いので、ぶっつけで音だけで楽しもうというのも無謀かも。一度は対訳に当たって意味を把握した方が楽しめると思います。

 mozart_figaro.jpg
 Le Nozze di Figaro ; René Jacobs, Concerto Köln (2003)



--- 予告編(ドン・ジョヴァンニ) ---

 Teodor Currentzis - Teodor Currentzis records Don Giovanni

モーツァルトの「ハイドン・セット」 [クラシック音楽2017]

ハイドン(1732-1809)でひとしきり遊んだ後はモーツァルト(1756-1791)へ。いい橋渡しとなるのが、モーツァルトがハイドンに献呈した6曲の弦楽四重奏曲「ハイドン・セット」。ハイドンが1781年に完成させたロシア四重奏曲(6曲)に触発され、2年以上の歳月をかけて練り上げた作品群です。(この作曲期間中にモーツァルトとハイドンの親交が深まったそうな。)

 弦楽四重奏曲第14番 ト長調 K.387(1782)
 弦楽四重奏曲第15番 ニ短調 K.421(1783)
 弦楽四重奏曲第16番 変ホ長調 K.428(1783)
 弦楽四重奏曲第17番 変ロ長調 K.458「」(1784)
 弦楽四重奏曲第18番 イ長調 K.464(1785)
 弦楽四重奏曲第19番 ハ長調 K.465「」(1785)

1785年、モーツァルトがハイドンをウィーンの自宅に招き(1月と2月の二度)これらの新曲を披露した際、ハイドンは、ザルツブルクから来訪していた父レオポルドに次のように伝えたとのこと。「神の御前で、また誠実な男として話すが、あなたのご子息は、私が直に、また名前を知っている中で最も偉大な作曲家だ。審美眼を持ち、さらに、作曲に関する深い知識も持っている。」


Ambroisie/Naïveレーベル公式の「ハイドン・セット」のカッコイイtrailer動画があったのですが、いつの間にか消えていました。仕方がないので代わりに、 K.465「」の動画を置くことにします。話のネタに、名前の由来となった冒頭2分ほどの序の部分を聴いてみてください。

 Mozart : Quatuor n°19 "Les Dissonances", par le Quatuor Cambini-Paris


あとは、K.458の「」とか、どこかで耳にされていると思います。また、短調の曲 K.421の3楽章(Menuetto)は、短くインパクトもあるので演奏会のアンコールに使用されたりします。

 Pacific Quartet Vienna, W.A. Mozart Streichquartett KV 421 d-moll, 3. Menuetto: Allegretto – Trio


こんな感じで、弦楽四重奏団のレパートリーには欠かせない曲集です。この団体もプログラムに必ず入れるようにしてるとのこと。細かな音のあやとりを見ていると、自然幸せな気持ちにさせられる曲と演奏です。
 mozart_cambini.jpg
 Mozart: The Six String Quartets dedicated to Haydn
 カンビーニ=パリ弦楽四重奏団〔ジュリアン・ショヴァン(Vn)、カリーヌ・クロケノワ(Vn)、ピエール=エリック・ニミロヴィチ(Vla)、酒井淳(Vc)〕
 --- 2016年度「齋藤秀雄メモリアル基金賞」の酒井淳がチェロを務めています。


--- おまけ(トルコ行進曲 K.331, 1783) ---

 Paraphrase on Mozart’s “Alla Turca” / Yuja Wang

ハイドンの「ザロモン・セット」 [クラシック音楽2017]

ハイドンと言えば「交響曲の父」「弦楽四重奏曲の父」と呼ばれるくらいなので、こちらはどうでしょう。ザロモン・セット(12曲)と呼ばれるものを聴いてみました。(交響曲100曲以上あるんですよ。)

 haydn_minkowsky.jpg
 マルク・ミンコフスキ & レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル・グルノーブル

 第1期(1791 - 92年)
 ・交響曲第93番ニ長調
 ・交響曲第94番ト長調『驚愕』
 ・交響曲第95番ハ短調
 ・交響曲第96番ニ長調『奇跡』
 ・交響曲第97番ハ長調
 ・交響曲第98番変ロ長調

 第2期(1793 - 95年)
 ・交響曲第99番変ホ長調
 ・交響曲第100番ト長調『軍隊』
 ・交響曲第101番ニ長調『時計』
 ・交響曲第102番変ロ長調
 ・交響曲第103番変ホ長調『太鼓連打』
 ・交響曲第104番ニ長調『ロンドン』

これらの作品が書かれた「きっかけ」はというと、"イギリスに渡って新しい交響曲を大きな管弦楽団で演奏して一儲けする"という興行主ヨハン・ペーター・ザロモンの企画に合わせて、ロンドン訪問中およびウィーンで準備されたとのことです。ハイドンは1791-92年と1794-95年の2回ロンドンを訪問していて、それぞれで6曲ずつ作られています。年代的に見ると、モーツァルトの最後の3つの交響曲が作曲されたのが1788年なので、これら全てその後に書かれた交響曲ということになります。また、ベートーヴェンの第1交響曲が1800年ですから、それよりは前です。


とここまで書いて、ミンコフスキのものを注文して、届くのを待っていたんですが、結局入手不可でした。(2010年発売の有名盤がすでに...これもCD不況のさざ波か...)


仕方がないので、代役をS.クイケンさんにお願いすることにしました。

 haydn_kuijken.jpg
 Sigiswald Kuijken/La Petit Band

こちらも評判は悪くないし、ラ・プティット・バンドには寺神戸亮、鈴木秀美という著名な日本人演奏家が参加してますし、これも何かの縁でしょう。(ちなみに僕が初めて買った鈴木秀美のCDはコラ・ヴォケールの東京ライブ盤。その頃はチェリストの名前なんて気にもせずに聴いていました。)

それはさて置き、ザロモン交響曲の参考動画を。(トン・コープマン指揮で、コンサートマスターには樫本大進が映っています)

 Haydn: Symphony No. 98 / Koopman · Berliner Philharmoniker


それで、頑張って12曲聴覇した感想ですが、ライナーノートの鈴木秀美の紹介文に「構造やテーマだけに頼らず、時間をかけ誠意をもってそのようなディテールを詰めて行った時、ハイドンの交響曲は決して堅牢なだけでなく、輝かしいと同時に温かさを持って人に語りかけるのである。」とあったので、注意深く聴いてみたつもりなのですが... 残念ながら僕にはパパハイドンは微笑みかけてくれなかったようです。(楽曲も演奏も立派なものなのですが)

結果、ハイドン入門には、ロンドンでの成功の後ウィーンに戻ってから書かれたオラトリオとミサ曲が良い、という感想です。


でも待てよ、と思って引っ張り出してきたのがトレヴァー・ピノック&イングリッシュコンサートによる疾風怒濤期の交響曲集(19曲収録)。1766-73年に作曲されたものというけれど、改めて聴いてみると結構可愛い。(その頃、少年モーツァルトは父に連れられて第1回目のイタリア旅行、1769-71年。)

 haydn_symphony_strum.jpg
 Trevor Pinnock/English Concert - Joseph Haydn: The "Sturm und Drang" Symphonies

「インフルエンサー」としてのハイドンは凄いです。こういう入口もありかな、ということでシンフォニーの感想は一旦保留です。


ところでハイドンの器楽曲というと、昔聴いたグレン・グールドの後期ピアノソナタ集が面白かった記憶があるのでYouTubeで探していたら、子供ユジャ・ワンの演奏があって、これが結構素晴らしいので載せてみます。(音と画はあまり良くないですが)

 Wang Yuja plays Haydn Sonata Hob. 50 C major 1st met

比較も楽しいので、プレトニョフ節も。(こちらも、音と画はそこそこですが)

 Mikhail Pletnev - J. Haydn Piano Sonata No.60 in C major, Hob. XVI.50

ハイドンの「テレジア・ミサ」 [クラシック音楽2017]

という訳でウィーン古典派に入っていくのですが、最初の関門がハイドン(Franz Joseph Haydn, 1732 - 1809)。普通にJ-POP聴いている人に、ビックリ交響曲のあけすけにC調な作曲家が訴求する部分があるのか?


ハイドンには2曲の有名なオラトリオがあります。「天地創造」と「四季」。


「天地創造 (1796-1798)」は3部構成になっています。

第1部(1日目〜4日目, 13曲)
 ・光と闇の分離
 ・天空を造り、水を上下に分離
 ・下の水を集合させ、陸と海に分離、また陸地には植物を
 ・太陽と月を造り、昼と夜を分離、また星も
第2部(5日目〜6日目, 15曲)
 ・水には魚を、空には鳥を
 ・大地には多種の生き物を、そして自身に似せた人間(男-女)を
 (ハレルヤ)
第3部(アダムとイヴ, 6曲)
 ・創造主への感謝 --- 幸いなる夫婦
 (アーメン)


「四季 (1798-1801)」は4部構成になっています。

第1部(春, 8曲)--- 雪解け、畑仕事、神への感謝
第2部(夏, 10曲)--- 太陽への讃歌、嵐、休息
第3部(秋, 10曲)--- 勤労と収穫、狩り、宴
第4部(冬, 11曲)--- 寒さの到来、糸車、美徳の勝利


やっぱ、大真面目に保守主義を歌われても、無理だわ。せめて、小声で陰りのある演奏なら,,.と思って下のCDを聴いてみたんですが、ピリオド楽器の素朴な音色が大仰さを薄めてくれていて、悪くもないじゃんと思い始めました。(「天地創造」でのユリア・クライター、「四季」でのマーリス・ペーターゼンの両ソプラノも聴かせるし。)

 haydn_creation.jpg haydn_season.jpg
 ルネ・ヤーコプス & フライブルク・バロック・オーケストラ
sakana.jpg
「ポストバロックと大編成アコースティックを基調とした物語性の高い楽曲と、ソリストたちによる真っ直ぐで表情豊かなパフォーマンスがハイドン唯一無二のナイーブな世界観を作り出すことに成功しています。」


毛色は違うけど、同じピリオド楽器のリハーサル動画を置いておきます。

 Sir Simon Rattle rehearses Haydn's Creation with Orchestra of Age of Enlightenment


当初は、ミサ曲(Theresienmesse, 1799)を推していたのですが、オラトリオに比べたらやっぱりセカンドチョイスかな、とも思い始めているところ。

以下は、13年の年月をかけて2005年に再建が完了した、ドレスデン聖母教会の聖歌隊(Kammerchor der Frauenkirche)によるものです。

 Joseph Haydn "Theresienmesse" - Kyrie(03.10.2016)

このミサ曲、ハイドンにしては控えめで、それでいて意外と曲調が変化に富んでいるので、ハイドンが苦手な人にはオススメです。("Nelsonmesse"も同様に薄い菅楽器群ですが、そちらは、見得を切った曲です。)

グルックの「オルフェオとエウリディーチェ」 [クラシック音楽2017]

J.S.BachやG.F.Händelに遅れること30年ほど、18世紀に生まれたC.W.Gluck(1714-1787)。

彼の作品でとりわけ有名なのが、オペラ「オルフェオとエウリディーチェ(Orfeo ed Euridice)」ですが、音楽の気品という点では、モーツァルト(1756-1791)にも勝るかもしれません。また、"オペラ改革"という言葉にあるように、台詞部分も全てオケ伴奏付き(recitativo accompagnato)なので音楽(dramma)が途切れる感がなく、言葉の分からない僕らでも聴きやすいと思います。

このオペラには1762年のウィーン版(イタリア語)と1774年のパリ版(フランス語)があり、単独にもフルート曲として知られる「精霊の踊り」はパリ版で追加されたものです。


 Christoph Gluck Dance of the Blessed Spirits for Flute and Piano


一昔前は、パリ版で有名アルト歌手とソプラノ歌手が主役を務め、こってりと演奏されていたものですが、古楽器団体の演奏が現れたことで、この作品にもパッと光が差し込んだ感じです。


 Ravenna Festival 2015 Dolce Concento Ensemble

 [歌詞]
 Che farò senza Euridice? / エウリディーチェなしに、どうすれば?
 Dove andrò senza il mio ben? / 愛する人なしに、どこへ行けば?

 Euridice! / エウリディーチェ!
 Oh Dio! Rispondi! / おお神よ! 応えてください!
 lo son pure il tuo fedel! / 私はあなたの忠実な息子であったのに!

 Euridice! / エウリディーチェ!
 Ah! non m'avanza / ああ! もはや私には残されてはいない
 Più soccorso, più speranza, / どんな助けも、希望も。
 Né dal mondo, né dal ciel! / また地上にも、天にも!


第三幕でのアリア「エウリディーチェを失って」は、エウリディーチェを振り返ってしまったオルフェによって歌われます。しかしこの後、アモールが現れ「お前の愛の誠は十分示された」とエウリディーチェを復活させます。


昨日から始まったLFJ2017のテーマは「ラ・ダンス 舞曲の祭典」だそうで、それに掛けてという訳でもありませんが、ダンス作品を紹介しておきます。抜粋した楽曲にピナ・バウシュが振り付けをしたBD/DVDがあります。(「喪」「暴力」「平安」「死」という4部に再構成されています。また、アモールによる救済はありません。)

 orpheo_pina.jpg
 『オルフェオとエウリディーチェ』 ピナ・バウシュ振付、ヘンゲルブロック指揮、ヴェッセリング、クライター、パリ・オペラ座バレエ団、他(2008 ステレオ)

バッハの「ミサ曲 ロ短調」 [クラシック音楽2017]

同年生まれの、G.F.Händel(1685-1759) と J.S.Bach(1685-1750)。ヘンデルのオペラに続いて取り上げるのは、バッハの宗教曲から「マタイ受難曲」に並ぶ名作「ミサ曲 ロ短調」。バッハ最晩年の1749年に完成された、彼の音楽と信仰の総決算と言える作品です。

全曲は以下のように構成されます。(バッハの自筆譜ファイリングに従うと)

 I. Missa (ミサ)
  Kyrie (キリエ)
  Gloria (グロリア)

 II. Symbolum Nicenum (ニカイア信条)
  Credo (クレド)

 III.Sanctus(サンクトゥス)

 IV. Osanna, Benedictus, Agnus Dei et Dona nobis pacem
  (オザンナ、ベネディクトゥス、アニュス・デイ 、ドナ・ノービス・パセム)

 Thomaskirche1.jpg

バッハは1723年にライプツィヒのトーマス教会(Thomaskirche)のカントルに就任し、終生その職にありましたが、「ミサ曲 ロ短調」はその間に何回かに分けて作曲されました。1724年にサンクトゥスが、1733年にキリエとグロリアが、1747-49年にクレドと残りの部分が書かれたものとみられています。

 Thomaskirche2.jpg

具体的な楽曲サンプルをひとつ。ジャズのスキャットのような「ダバダバダー、ダバダー、ダバダー」というフレーズがお気に入りの "Credo in unum Deum = 我は信ず、一なる神" で探してみました。トーマス教会聖歌隊の演奏です。

 14 Credo in unum Deum(The Thomanerchor, The Gewandhausorchester Leipzig)


バッハのプロテスタントへの傾倒は、例えば、「マタイ受難曲」第65曲 "Mache dich, mein Herze, rein = 私の心よ、おのれを清めよ" の「私は、自らの心を墓としてイエスを葬るのだ」という歌詞(H.ミュラーの受難説教集から取られているとのことですが)などにも見て取れ、プロテスタントでラテン語ミサ曲というと妙な感じなのですが、意外とそうでもないのだそうです...?

---(以下、Wikipediaより)

バッハは熱心なルター派の信仰者であったが、その彼がカトリック教会の典礼であるラテン語ミサをこれほどの規模で作曲したことを奇異とするのは必ずしもあたらない。ルター派教会の礼拝はラテン語のミサを継承しており、マルティン・ルター自身が、ルター派版の「キリエ」、「グロリア・イン・エクセルシス」、「ニカイア信条」、「サンクトゥス」の使用を認めていた。

---

信仰云々は抜きにしても、最初の "Kyrie eleison = 主よ、憐れみたまえ" から終曲の "Dona nobis pacem = われらに平和を与えたまえ" まで、純粋に音楽として聞き応えのある楽曲が連なっているので、時間が許せば全曲聴いてみるのも良いかと思います。明日からGWですし。

 coco_mass.jpg
 J.S. バッハ:ミサ曲 ロ短調 BWV 232 (ケオハネ/ラン/ポッター/コボウ/ハーヴェイ/コンチェルト・コペンハーゲン/モルテンセン)

2011年の録音でSACDハイブリッド、CoCoがバックを務めています。One Voice per Part(部分的にTwo Voices)というところも今っぽくておすすめポイント。しっとりとした、音が体の中に浸み込んでいくような、そんな演奏です。「水車小屋の娘」で村治佳織と共演していたヤン・コボウも参加しています。


--- memo ---
Childhood (1685–1703)

Weimar, Arnstadt, and Mühlhausen (1703–08)
 フーガ ト短調 BWV 578, 1703-07
 トッカータとフーガ ニ短調 BWV 565, 1704頃

Return to Weimar (1708–17)
 7つのトッカータ BWV 910〜916, 1710頃
 ブランデンブルク協奏曲第3番 BWV 1048, 1711-13頃
 フランス組曲 BWV 812〜817, 1715

Köthen (1717–23)
 ブランデンブルク協奏曲第1,2,4,5,6,番 BWV 1046〜1051, 1717-1721頃?
 イギリス組曲 BWV 806〜811, 1717
 無伴奏チェロ組曲 BWV 1007〜1012, 1717-23
 半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV 903, 1719
 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ BWV 1001〜1006, 1720
 2声のインヴェンションと3声のシンフォニア BWV 772〜801, 1720-23
 平均律クラヴィーア曲集第1巻 BWV 846〜869, 1722-23

Leipzig (1723–50)
 ミサ曲 ロ短調 (Messe h-Moll) BWV 232, 1724-49
 ヨハネ受難曲 (Johannes-Passion) BWV 245, 1724/25-29
 パルティータ BWV 825〜830, 1726-31
 マタイ受難曲 (Matthäus-Passion) BWV 244, 1727-29
 マニフィカト ニ長調 (Magnificat D-Dur) BWV 243, 1728-31
 管弦楽組曲第3番 ニ長調 BWV 1068, 1729-31頃
 管弦楽組曲第2番 ロ短調 BWV 1067, 1730頃
 クリスマス・オラトリオ (Weihnachts-Oratorium) BWV 248, 1734
 イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV 971, 1734
 平均律クラヴィーア曲集第2巻 BWV 870〜893, 1738-42
 ゴルトベルク変奏曲 BWV 988, 1742
 フーガの技法 (Die Kunst der Fuge) BWV 1080, 1742頃-49 未完
 音楽の捧げもの (Musikalisches Opfer) BWV 1079, 1747

ヘンデルの「ジュリアス・シーザー」 [クラシック音楽2017]

パーセル以降のイギリスの作曲家というと、ドイツから帰化したヘンデルがいらっしゃいます。(1712年にロンドン移住、1727年に帰化)

「ことに1990年代あたりからはオペラの蘇演が非常に盛んとなり、今日では器楽曲よりもバロック・オペラの代表的作曲家として人気が高い。」(Wikipedia)

とあるように、教会音楽のバッハに対して、ヘンデルはオペラやオラトリオなど劇場向け音楽の分野で、バロック時代を代表する作曲家として再評価されているようです。(まあ、「水上の音楽(Water Music)」や「王宮の花火の音楽(Music for the Royal Fireworks)」という管弦楽作品も、劇場型といえばそうですし。)
 Her-Majestys-Theatre-hall-v.png
 Her Majesty's Theatre(Haymarket in the City of Westminster, London)


ヘンデルの楽曲一覧を見てみると生涯でオペラを40作以上残していますが、その中でも取り上げられる機会が多いものとして「Giulio Cesare in Egitto(エジプトのジュリアス・シーザー, 1723-24)」があります。(僕が観たのは、モルテンセン指揮のコンチェルト・コペンハーゲンでタイトルロールをアンドレアス・ショルが歌ったものでした。)

登場人物は以下の通り。

 ジュリアス・シーザー : ローマの将軍
 クーリオ : シーザーの副官

 コルネーリア: シーザーの政敵ポンペイウスの妻
 セスト : ポンペイウスの息子

 クレオパトラ : エジプト女王
 ニレーノ : クレオパトラの従者

 トロメーオ : エジプト王(クレオパトラの弟)
 アキッラ : エジプトの将軍(トロメーオ王に仕える)

これら4組の織りなす、権力争い、復讐譚、恋愛話が描かれた、三幕からなる上演時間3時間半以上(幕間なしで)の作品です。

このオペラについては、ウィリアム・クリスティがグラインドボーン音楽祭(2005)で上演したものがBD・DVDとしてリリースされています(過去形ならごめんなさい)。キュートなクレオパトラを演じたダニエル・ドゥ・ニースは本上演で一躍ブレイクしました。また、アンゲリカ・キルヒシュラーガーの復讐に燃えるセストも見ものです。などなど、鑑賞するとヘンデルに対する見方が変わるかもしれない映像作品です。

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 ウィリアム・クリスティ&エイジ・オブ・エンライトゥンメント管弦楽団


「ジュリアス・シーザー」には魅力的なアリアが色々ありますが、ナタリー・デセイの歌ったクレオパトラのアリア "Se pietà di me non senti" がYouTubeにあったので紹介します。(第二幕終盤で、戦いに向かうシーザーを案ずる気持ちを歌ったものです)

 Natalie Dessay: "Se pietà" (Giulio Cesare) - recording session!


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オペラやオラトリオが人気と言っても、作品1の落ち着いたソナタたちを聴きたい時もありますよね。

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 Handel: Complete Violin Sonatas, Andrew Manze, Richard Egarr

ベルイマンの「秋のソナタ」で使用されていた曲はリコーダーソナタなんだけど、ずっとヴァイオリンソナタだと勘違いしていて、上のアンドルー・マンゼのCDにそれらしいのがなかったのでおかしいなと思っていた時期もありました。

 G. F. Haendel. Recorder Sonata in F major, HWV 369.

パーセルの「妖精の女王」 [クラシック音楽2017]

パーセルの「アーサー王 (King Auther, 1691)」に続いて、「妖精の女王 (The Fairy-Queen, 1692)」を取り上げます。

こちらの物語はシェークスピアの「夏の夜の夢」をベースにしたものです。各幕のオペラ部分については、「アーサー王」では直接物語の進行を担うこともあったのですが、「妖精の女王」ではより象徴的な内容を表現するものとなっています。

Oberon_and_Titania.jpg
 The Quarrel of Oberon and Titania by Joseph Noel Paton

=== begin ===
 
音楽(プレリュード, ホーンパイプ, エア, ロンド, オーヴァチュア)

第一幕 --- 4人の恋人たちの葛藤、オベロンとティターニャの不和 ---
 二重唱「さあさあ町を離れて」〜 酔いどれ詩人と揶揄う妖精たちの場面 〜 終曲(ジーグ)

第二幕 --- 眠るティターニャとパックのいたずら ---
 妖精の宴 〜 夜、神秘、秘密、眠り 〜 夜の従者たちの踊り 〜 終曲(エア)

第三幕 --- ロバの頭をしたボトムを愛するティターニャ ---
 独唱「愛がもし甘いものなら」〜 白鳥のシンフォニー 〜 干し草作りの男女コリドンとモプサの求愛の場面 〜 終曲(ホーンパイプ)

第四幕 --- オベロンとティターニャの和解 ---
 シンフォニー 〜 太陽神フィーバス登場 〜 春、夏、秋、冬 〜 終曲(エア)

第五幕 --- 二組のカップルの誕生 ---
 プレリュード 〜 神々の女王ユーノ登場 〜 嘆きの歌「ああいつまでも泣かせてください」〜 中国庭園の場面 〜 婚姻の神ハイメン登場 〜 合唱「彼らは美しく、幸せだ...」

=== end ===


楽曲の雰囲気を掴むための参考として、第二幕の"妖精の宴"での「歌え、私たちが草原で踊っている間に」をあげておきます。

 

 [歌詞]
 Sing while we trip it on the Green; / 歌え、私たちが草原で踊っている間に。
 But no ill Vapours rise or fall, / だが、妖気を漂わせてはならぬ、
 Nothing offend our Fairy Queen./ 何ものも、Fairy Queenを怒らせぬよう。


このような説明だけでは面白さが伝わらないかと思います。僕もレザール・フロリサンの来日公演(コンサート形式)を見て、初めて、その生き生きとした魅力に気付かされたクチですから。幸い映像が市販(BD,DVD)されているので、我と思わん方は、そちらにチャレンジしていただければと思います。(芝居とダンスと音楽が高度に組み合わされた舞台なので、僕は何度も振り落とされました。)

 purcell_queen.jpg
 H.Purcell: The Fairy Queen
 ウィリアム・クリスティ 、 エイジ・オブ・エンライトゥンメント管弦楽団


あと追記しておきたいのは、重要なソロ曲が共に深刻なマイナー調なことです。劇の内容自体は悲劇というより喜劇に近いものなのですが...

第三幕の「愛がもし甘いものなら」
 If love's a sweet passion, / 愛がもし甘いものなら、
 why does it torment? / なぜこんなにも苦しいのか?
 If a bitter, oh tell me / またもし辛いものなら、
 whence comes my content? / この満ち足りた気持ちはどこから来るのか?
 Since I suffer with pleasure, / 私は喜んで苦しんでいるのだから、
 why should I complain, / どうして不満を言うだろうか?
 Or grieve at my fate when I know 'tis in vain? / 無駄と知りつつ嘆くだろうか?
 Yet so pleasing the pain is, / けれど苦痛は心地よく、
 so soft is the dart / その矢はとても柔らかく
 That at once it both wounds me / 私を傷つけると同時に
 and tickles my heart. / 私の心をくすぐる。

 Theater an der Wienの公式から



第五幕の「ああいつまでも泣かせてください」
 O let me ever, ever weep, / ああいつまでも泣かせてください
 My eyes no more shall welcome sleep. / 私の目はもはや眠ることを喜ばない。

 Nederlands Blazers Ensembleの編曲版



「King Auther」に対して、「The Fairy-Queen」では"Love"の表現が一層深化していて、宗教的な感じすら受けるのです。

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