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建物シリーズ 記事一覧
2018年01月13日:  Pの修業時代
2017年12月30日:  聖愛と俗愛 and WATER
2017年12月16日:  バスティーユとバレエ
2017年12月02日:  廃墟とゴースト
2017年11月19日:  シューベルト教会とD.946
2017年11月18日:  ボストン美術館と春の祭典
2017年11月11日:  鱒とクリストキンドル郵便局
2017年10月28日:  楽園とペリ
2017年10月21日:  大地の歌とブサキ寺院
2017年10月14日:  アルマ・マーラーとマリア・ヴェルト

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Pの修業時代 [建物シリーズ]

田舎に住んでいたので、修学旅行は奈良・京都でした。自由行動では何故か午後は京都タワー、ゲーム機で遊んでいたあまり良くない生徒さんたちです。

kyoto_tower.jpg
 京都タワー ( www.keihanhotels-resorts.co.jp )


時期は3月、旅行から戻ってくるといつの間にやらポカポカ陽気。それで聴いたのが、FMでAirチェックしてお気に入りにしていた、マスネの「4月の詩」。詩の朗読に続いてブルーノ・ラプラントの甘い歌声が入ってくる、友達にはちょっと言えない趣味のものでした。


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そのマスネ (1842-1912) が可愛がっていた音楽家に、レイナルド・アーン (1875-1947) という早熟の天才作曲家がいます。

10代前半に書かれた「Si mes vers avaient des ailes (私の詩に翼があったなら, 1888)」が有名と聞きますが、「À Chloris (クロリスに, 1913)」を聞いてみましょう。(この動画では、歌詞中の"Chloris"を"L'enfant"と置き換えて歌っています。理由は動画の前半で語られています)


 "Ah Chloris" -- Reynaldo Hahn;
  Susan Graham, mezzo-soprano; Jake Heggie, piano

 À Chloris

 S'il est vrai, Chloris, que tu m'aimes,
  それが本当なら、クロリス、君が僕を愛していると
 Mais j'entends, que tu m'aimes bien,
  けれど知っているよ、君が本当に愛していると
 Je ne crois pas que les rois mêmes
  僕は、王たちだって同じとは、信じたりしない
 Aient un bonheur pareil au mien.
  僕と同じ幸せを得ているとは

 Que la mort serait importune
  死なんかごめんこうむる
 A venir changer ma fortune
  僕の幸運を変えてしまうような
 Pour la félicité des cieux!
  天上の幸福であってでさえ!

 Tout ce qu'on dit de l'ambroisie
  アンブロシア(天上の食べ物)を語ろうが
 Ne touche point ma fantaisie
  僕のファンタジーには触れもしない
 Au prix des grâces de tes yeux.
  君の瞳の祝福の価値という

 (Poésie de Theophile de Viau.)



オルレアン生まれのソプラノ、ヴェロニク・ジャンスが色々歌っている(デュパルク、ショーソン、アーン)中にも入っています。

veronique_gens.jpg
 フランス近代歌曲, 三者三様の洗練
  Veronique Gens
  Susan Manoff


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"修業時代"の未成年者に課題を!

1. 君よ知るや南の国
 "Kennst du das Land, wo die Zitronen blühn"
 "Connais-tu le pays" by Ambroise Thomas

2. ただ憧れを知る者だけが
 "Nur wer die Sehnsucht kennt"
 "Нет, только тот, кто знал" by Tchaikovsky
 "None but the Lonely Heart"

(載せられる動画が見つからなかっただけの話だけど... )

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聖愛と俗愛 and WATER [建物シリーズ]

フランス国のローマ賞受賞者(音楽賞ではベルリオーズ、トマ、グノー、ビゼー、マスネ、ドビュッシー等々)が滞在したというメディチ荘は、ローマのピンチョの丘にあります。その丘に隣接しているのが広大なボルゲーゼ公園で、その中にあるのが、枢機卿シピオーネ・ボルゲーゼが自身の美術コレクションを置くために建てられたヴィラ、ボルゲーゼ美術館。見学には予約が必要ですが一見の価値ありです。

彫刻では、ベルニーニ (1598-1680) の「アポロンとダフネ」,「プロセルピーナの略奪」,「ダビデ」といった傑作が迫力を持って迎えてくれます。

絵画では、カラヴァッジョ (1571-1610) の作品だけで飾られた一室などもありますが、見逃せないのが、ティチアーノの「聖愛と俗愛」。縦1.18m x 横2.79mの大きな絵です。

Tizian_029.jpg
 "Amor Sacro e Amor Profano" by Tiziano, 1514 ( Wikipedia )


イメージに反して、右側の裸の女性が「聖愛」を、左側の着衣の女性が「俗愛」を象徴しているそうです。いろいろと散りばめられた寓意の解釈については他所で確認してもらうとして、中央にいるキューピッド、何故か泉の水をかき回しています。


--- 星の川をまたいで列車は走る、宇宙を結ぶリボン --- sora tob sakana


エレーヌ・グリモーの「WATER」。水にまつわるクラシック楽曲を混ぜ合わせたアルバムで、曲間には"water-transition"というつなぎが挟まれています。

Grimaud_water.jpg
 
 WATER --- 我々は水である
 
 Water is merciless and miraculous.
  Helene Grimaud

 ベリオ:水のクラヴィア
 武満徹:雨の樹 II(オリヴィエ・メシアンの追憶に)
 フォーレ:舟歌 第5番 嬰ヘ短調
 ラヴェル:「水の戯れ」
 アルベニス:「イベリア」第2巻 ~「アルメリア」
 リスト:「エステ荘の噴水」
 ヤナーチェク:「霧の中で」~ アンダンテ
 ドビュッシー:「沈める寺」


 "Water - Transition 5" & Franz Liszt "Les Jeux d'eaux à la Villa d'Este"
 https://youtu.be/1OIWA8IcxPE


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ところで、リストの「巡礼の年《第3年》」は全7曲からなる1877年頃の作品で、その2, 3曲目が「エステ荘の糸杉にI, II : 哀歌」、4曲目が「エステ荘の噴水」。リスト晩年の特徴とされる宗教的な意味合いも持ち、「エステ荘の噴水」の楽譜にはヨハネ福音書から以下の文面が記されているそうです。

 --- 私が与えた水は、その人の中で、永遠の命を生み出す泉となるであろう ---


ちなみに、エステ荘はローマ近郊のティヴォリにあり、オプショナルツアーなどに参加すれば容易に訪れることができます。

エステ荘のエントランスには、こんなセラミックプレートがはめ込まれています。
 Villa-d_Este.jpg

そしてエントランスの左側には、リストの滞在を記念したプレートが飾られていて、
 Villa-d_Este_Liszt.jpg

中を抜けると、眼下に、糸杉で整備された噴水庭園を望むことができ...

近くに降りての散策もOKです。

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バスティーユとバレエ [建物シリーズ]

もう何年も前の話、せっかくパリに行くんだからオペラ座を見学して、と予定を組んだもののガルニエ宮は改修中。残念だけど、オペラ・バスティーユの方でバレエ「ジゼル」があるというのでチケットを手配しました。

opera_bastille.jpg
 L'Opéra de la Bastille( www.operadeparis.fr )


バスティーユでは例によって小規模なデモが行われていたものの、それも掃けて何の事もなく入場。バレエには縁がなかったので生まれて初めて観覧したのですが、パントマイム劇のようで意外と楽しめるものだと気付きました。劇場内は通常のコンサートホールのような作りで音も聴きやすかったし、終演後には翌日に乗るTGVのリヨン駅の下見もできて、満足して宿に戻ってきたのでした。


ジゼル第1幕のヴァリエーション。(踊っているのはナタリア・オシポワ、テクニシャンで知られているようです)

 Adam: GISELLE (Royal Opera House)


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この「ジゼル」、ロマンティック・バレエの代表作として知られていますが、フランスでは19世紀後半にはバレエ(バレリーナ)の俗化が進み、芸術としては衰退していく中、ロシアで受け継がれ、プティバによる振付け(1884年、以降数回改訂)が決定版として今もベースとなっているそうです。

マリウス・プティバは1818年マルセイユ生まれのダンサーで、ボルドーやマドリードで踊ったのち、1847年にサンクトペテルブルク マリインスキー劇場のプリンシパルとして契約。1871年には同劇場のバレエ・マスターに就任し、「ドン・キホーテ」を手始めに数々のバレエ作品を手がけます。1890年「眠りの森の美女」の初演でも振付けを担当。1892年「くるみ割り人形」の初演も振付けをする予定が、深刻な皮膚病のため叶わず、後輩のイワノフに委任。チャイコフスキーが亡くなった後の、1895年「白鳥の湖(ボリショイでこけた)」蘇演では、イワノフと分担して振付けを行い大成功を収めるなど、クラシックバレエの確立者として知られています。


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ネズミの磁場に引き寄せられるのか、クリスマスは「くるみ割り人形」とか「ディズニー」とか... CDでも聞いときましょ、三大バレエのピアノデュオへの編曲版、といっても結構マジです。

>>> 私たちのチャレンジは、たった2台のピアノを使って(4つの手の20本の指で)自由さを保持しながらもオーケストラと同様の大きなスケールをもたらすこと。そしておそらくは、作品に対する異なる解釈も。 <<<

Tchaikovsky_piano_duo.jpg
 Tchaikovsky: Ballet Suites for Piano Duo
 児玉麻里 、 児玉桃

 1. ラフマニノフ編曲による連弾版
 「眠りの森の美女」組曲 Op.66
 【序奏-リラの精/アダージョ-パ・ダクシオン/長靴をはいた猫/パノラマ/ワルツ】

 2. アレンスキー編曲による連弾版
 「くるみ割り人形」 Op.71 より
 【小序曲/行進曲/金平糖の踊り/アラビアの踊り/中国の踊り/ロシアの踊り/
  葦笛の踊り/花のワルツ/パ・ド・ドゥ(グラン・アダージョ)】

 3. ランゲリ編曲による連弾版
 「白鳥の湖」Op.20より
 【情景/四羽の白鳥の踊り/情景】

 4. ドビュッシー編曲による連弾版
 「白鳥の湖」Op.20より
 【ロシアの踊り/スペインの踊り/ナポリの踊り】

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廃墟とゴースト [建物シリーズ]

ベルイマン、タルコフスキー、おまけに宮崎駿といった監督(film/play/opera)の映画作品のロケ地として名高いゴットランド島。行きはストックホルムからバスで南下してニーネスハムンという港から高速船で、帰りは小型のプロペラ機でアーランダ空港に戻ってきたのでした。

ヴィスビーの港に着くと、そこからは徒歩で15分くらいだったか、旧市街の入口に到着。宿に荷物を置いて、坂道を上り下りしていると、青いバルト海を背景に家々の屋根と中世の教会の廃墟を望む景観が、意匠を変えて度々顔をのぞかせます。

Visby_panorama.jpg
 Visby( from Wikipedia )

また、道の途中には隠れるようにお店が点在していて、お土産品を探すのも宝探しのようで楽しいものです。晩ごはんはラム肉が美味しいです。ハチミツも名産らしいので、コロコロとしたお姉さんたちも見かけたりします。


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そんなゴットランドで撮影された映画に「秋のソナタ」がありますが、イングリッド・バーグマン演ずる初老のピアニストが、娘の「昔よりは上達したでしょ」という言葉に対して、「ショパンはそうではなくて」と模範演奏して見せる曲が、前奏曲の第2番。

 chopin_schulz_4.jpeg


スウェーデン人にとってのゴットランド島が、パリジェンヌにとってはマヨルカ島(スペイン)だったのでしょうか、1838.11.8 - 1839.2.13、ショパンとジョルジュ・サンドと彼女の二人の子供は、バルセロナの南210kmにあるその島に静養に出かけます。ショパンはお気に入りのプレイエルのピアノは輸送して、バッハの平均律クラヴィーア曲集の楽譜を2巻携えてと。しかし、冬のその時分は、マヨルカ島は雨の多い時期。バルデモーサ修道院の部屋で雨音を聞きながら、憂い顔の24の前奏曲は完成されます。(サンドの自伝的旅行小説「マヨルカの冬」は1842年に出版)


 Frédéric Chopin - Prélude No. 4 in E minor, op. 28 - Nino Gvetadze


このニーノ・グヴェタッゼというピアニストの、アルバムタイトルが「ゴースト」。タイトリングの理由と演奏印象を書くつもりでしたが、入荷予定日がずれ込んでまだ手元に届いていないので、レコード会社による紹介文だけそのまま引用します。

About the album
Nino Gvetadze: “Chopin looked back and evoked for us the story of his life in his 24 Preludes. Through the medium of these works he revealed his deepest fears and sorrows, but also the beauty and integrity of his heart. The story of these ghosts culminates in tolling bells which are, in Cortot’s words, “of blood, of earthly pleasure, of death...” But what follows? A pause: silence, timeless solitude, in the Etude Op.10, No.6. Then, suddenly, the soul wakes up and waltzes into space. The album ends with the Scherzo No.2, “like a charnel house”, or house of the dead, as Chopin apparently described the opening – yet the finale sounds like a celebration of life. And so our ghostly journey ends with fireworks, with smiling and shining, looking far into the future...”

chopin_prelude.jpg
 Ghosts - Chopin: Preludes Op.28, etc
  Nino Gvetadze


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シューベルト教会とD.946 [建物シリーズ]

フランツ・シューベルトが洗礼を受け、そこの聖歌隊員でもあったというシューベルト教会リヒテンタール。
Schubertkirche_innen.jpg
 Schubertkirche Lichtental( Wikimedia Commons)


ウィーンに遊びに行った時に、ちょうど「リートの夕べ」があったので出向いたのだけど、路面電車でどう行ったのか忘れてしまいました。開演前には近所のギリシャ料理店でヨーグルトをつけながらグリルされた肉を食って...

反響の多い教会で、音が充満してしまって音楽を聴くにはあまり向かないかなという印象でしたが、休憩時間に売っていたオレンジジュースがやけに記憶に残っています。(よっぽど喉渇いてたんだね)



で、D.946のこと。

--- この曲集はシューベルトの死後長らく忘れ去られていたが、後にブラームスがその価値を認め、匿名で編集したうえで「3つのピアノ曲(Drei Klavierstücke)」と特徴のない題名をつけ、作曲者の死後40年が経過した1868年に出版している。---

Gilmore Keyboard Festivalの、今年3月の公式音源がありました。アンドラーシュ・シフらしい機知の炸裂したピアニズムです。

SIR ANDRÁS SCHIFF - Schubert - Drei Klavierstucke, D. 946 (Audio Only)


この曲を書いてから亡くなるまでのわずか半年の間にも、弦楽五重奏曲、歌曲集「白鳥の歌」、最後の3つのピアノソナタという傑作が生み出されているのですから、彼の31年という短い人生は一つの驚きです。

【1928年】
 D.946 Drei Klavierstücke(5月)
 D.950 Mass No.6(6-7月)
 D.956 Quintet, C major(9-10月)
 D.957 Schwanengesang(白鳥の歌, 8-10月)
 D.958 Piano Sonata No.19, C minor(9月)
 D.959 Piano Sonata No.20, A major(9月)
 D.960 Piano Sonata No.21, B♭ major(9月)
 D.965 Der Hirt auf dem Felsen(岩の上の羊飼い, 10-11月)
 D.965a Die Taubenpost(鳩の便り)
11月19日没
 schroeder.jpg タワレコ Xmas
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ボストン美術館と春の祭典 [建物シリーズ]

ボストンの春は美しい。桜やマグノリア、それにチューリップといった様々な花々が一斉に咲き誇っています。緯度の関係なのか、花の色が特別に清新で鮮やかに見えます。

毎年その時期に、ボストン美術館では "Art in Bloom" という、美術作品とアレンジメントフラワーを対にして展示する企画を行っています。それはそれで楽しめるものだったけど、その代りに見ることができなかったのが、この絵。

paul_gauguin.jpg
 "D'où venons-nous ? Que sommes-nous ? Où allons-nous ?"
  by Paul Gauguin, 1897-1898


「春の祭典」には、万物の根本的な起源は何かを問う、いわばゴーギャンの「われわれはどこから来たか、何であるか、どこへ行くのか」に似た、神秘的な部分があると思います。パーティーがはじまる時、誰もがそのうちの一人が死ぬことになることを知っているのです。ですが、それが誰なのかまでは判らない。--- M.T.トーマス


「火の鳥」は、王子イワンが森で捕まえた不思議な火の鳥から一枚の羽を貰い、不死身の魔王カスチェイの城で危機に瀕して、その羽をかざすと火の鳥が登場。その魔法の力によってカスチェイと手下たちが眠っている間に、カスチェイの本当の魂が隠されている卵を破壊。幽閉されていた王女たちを救出し、その中の一人と結ばれるというお話。


「ペトルーシュカ」は、謝肉祭のシロヴェティデの日に、魔術師によってペトルーシュカ/バレリーナ/ムーア人の三体のパペットに命が吹き込まれ、ペトルーシュカはバレリーナに想いを寄せるものの、ムーア人と仲睦まじくしているのに絶望。夕刻、市場が賑わう中、ムーア人に追い回され惨殺。夜になると、死んだペトルーシュカの亡霊が人形芝居小屋の上に浮かぶといったお話。


これら三作品とも、生命というものの神秘性を表しているのが、今日でも人気のある理由の一つかもね。


・火の鳥(L'Oiseau de feu, 1910)

 Stravinsky Firebird Maria Mazo, piano


・ペトルーシュカ(Petrushka, 1911)

 Stravinsky - Petrushka - Leonidas Kavakos and Yuja Wang


・春の祭典(Le sacre du printemps, 1913)

 Alice Sara Ott & Francesco Tristano - Scandale - Stravinsky (Official Video)



--- p.s.

幼い頃、実家に数枚あったクラシックLPの端っこに、春の祭典(ピエール・モントゥー指揮)が隠れていました。全裸の女性がぼんやりと描かれたジャケットを眺めていると、「それは子供の聴く曲じゃないから」と言われたのを思い出します。(その後、こっそり聴いてみた感想は…「こりゃ、ハゲるわ!」)

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鱒とクリストキンドル郵便局 [建物シリーズ]

steyr-oberoesterreich.jpg
 ( www.tiscover.com )


シュタイヤーへ行くには、リンツにほど近いサンクト・ヴァレンティンで乗り換えて支線に入り、田園風景を眺めながら1時間ほど。上の写真はシュタイヤーを代表する景観の一つで、シュタイヤー川とエンス川が交わっている旧市街の様子です。小さくしたので分かりづらいですが、女性は左手にヴァイオリンを持っています。それもそのはず、二人の作曲家がシュタイヤーとつながりを持っています。



1人目は、フランツ・シューベルト。1819年(22歳)の夏にシュタイヤー地方を旅行した際、地元の鉱山技師パウムガルトナー(アマチュアのチェリスト)に、ピアノ五重奏曲の作曲を依頼されました。その時の注文内容には、コントラバスを入れることと、歌曲「ます」による変奏曲を入れること、があったそうです。


 Schubert: Quintet "Die Forelle" IV
  (Manara, Ronchini, Dindo, Bernardi, Marangoni)



2人目は、アントン・ブルックナー。彼の第8、第9交響曲の多くの部分が、1884年以降、ウィーンでの仕事の夏休み期間中にシュタイヤー司教館で作曲されているということで、街には胸像も建てられています。


 Bruckner: Symphony No. 8 / Blomstedt · Berliner Philharmoniker
 (Recorded at the Berlin Philharmonie, 10 January 2015.)


 Herbert Blomstedt at 90


第8の初演は1892年ウィーンにて。(サポーターの)フーゴ・ヴォルフが友人に宛てて、賛嘆の手紙を書いています。

--- This Symphony is the creation of a Titan, and in spiritual vastness, fertility of ideas and grandeur even surpasses his other symphonies.... Its success was almost without precedent, It was the absolute victory of light over darkness, and the storm of applause at the end of each movement was like some elemental manifestation of Nature. In short, even a Roman Emperor would not have wished for a more superb triumph. ---



でも、シュタイヤーで一番、と言ったら下の郵便局かも。今年ももうじきOPENです。

 steyr-postamt.jpg
 Postamt Christkindl in Steyr

詳細は オーストリア政府観光局公式サイト…クリスマス

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楽園とペリ [建物シリーズ]

1810年、ドイツ東部のツヴィッカウで生まれたロベルト・シューマン。1828年、ライプツィヒ大学の法科に進む一方で、フリードリヒ・ヴィークに師事してピアニストを目指します。

・〜1839年 - ピアノ曲
 「蝶々」op.2,「謝肉祭」op.9,「幻想小曲集」op.12,「交響的練習曲」op.13,
 「子供の情景」op.15,「クライスレリアーナ」op.16,「幻想曲」op.17

・1840年 - 歌曲の年(9月12日、クララ・ヴィークと結婚)
 「リーダークライス」op.24 & 39,「ミルテの花」op.25,
 「女の愛と生涯」op.42,「詩人の恋」op.48

・1841年 - 交響曲の年
 交響曲第1番 op.38, ピアノと管弦楽のための幻想曲(後のピアノ協奏曲第1楽章),
 ニ短調交響曲(後の交響曲第4番、クララへの誕生日プレゼント)

・1842年 - 室内楽の年
 弦楽四重奏曲 op.41_1/2/3, ピアノ五重奏曲 op.44, ピアノ四重奏曲 op.47


---

「楽園とペリ (Das Paradies und die Peri, op.50)」は、1843年に作曲されます。
Paradise_and_the_Peri.jpg
 Debut from "Paradise and the Peri" by Henri Fantin-Latour, 1894


原作は、エラスムス「愚神礼賛」に触発された「ユートピア」で知られる、トマス・モア(1478 - 1535)の詩集「ララ・ルーク」で、その中から「楽園とペリ」をシューマンが友人と共同でドイツ語に訳して台本化。エデンの園を追放されたペリ(妖精ペリ一族の女の子)が、再びエデンの門から迎い入れてもらうため、「天に最も相応しいギフト」を地上で探すというお話です。


第1部のギフトはインドから。暴君ガズナに立ち向かって死んだ、勇敢な若者の最期の血の一滴。--> 効かない

第2部のギフトはアフリカから。ペストに罹った恋人を抱きしめ、湖の畔で共に死んでいく乙女の愛の息吹。--> 効かない

第3部のギフトはシリアから。花咲くバラの中で祈りを捧げる少年、自分に対峙しても身じろぎもしないその姿に悔い改める罪深き男の涙。--> 開いた


開始位置を第25曲目に設定しています。全曲の終わりまで12分ほど。

 Schumann: Das Paradies und die Peri
  ∙ hr-Sinfonieorchester ∙ Philippe Herreweghe

 [歌詞リンク]
 第1部(第1〜9曲)
  http://www.damo-net.com/uebersetzung/schumann/op050/all01.htm
 第2部(第10〜17曲)
  http://www.damo-net.com/uebersetzung/schumann/op050/all02.htm
 第3部(第18〜26曲)
  http://www.damo-net.com/uebersetzung/schumann/op050/all03.htm


---

Bilker Straße 15, Düsseldorf( www.schumann-portal.de )
 Schumann_Clara_Robert.jpg

GW時期のドイツ、デュッセルドルフから南へ向かう車窓を通り過ぎていく新緑は、日本の本州では見られない極々淡いタッチで、「美しい5月に」と歌う繊細なドイツ魂はこういう風景から生まれて来るのかと妙に納得していました。(ちなみにニ短調交響曲、ガーディナーの全集に初稿1841年と改訂稿1851年の両方が入っているけど、初稿の方が好きかもしれない)



 Schumann | Quartet with piano III. |
  Daishin Kashimoto - Lise Berthaud - François Salque - Eric Le Sage

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大地の歌とブサキ寺院 [建物シリーズ]

フリッツ・ヴンダーリッヒの「Dunkel ist das Leben, ist der Tod (暗きは生、そして死も)」で首根っこをつかまれ、クリスタ・ルートヴィヒの「Ewig... ewig... (永遠に... 永遠に... )」でとどめを刺される。それは、オットー・クレンペラーの振った「大地の歌 (Das Lied von der Erde)」のこと。

マーラーのこの退廃音楽が中坊に厭世観を植え付けるのは容易いもので、その後はすっかりJonny Rotten化して"腐れて"いた野良犬を、拾ってくれたのが私立恵比寿中学の「穴空…夏だぜジョニー」でした。そんな訳で「美について」。


 G.Mahler-Yoon Kuk Lee: Das Lied von der Erde - Von der Schönheit
 (Salzburger Kammerphilharmonie at the Mozarteum)

 "Von der Schönheit"
  "美について"(李白の詩「採蓮曲」による)

 Junge Mädchen pflücken Blumen,
  若い娘たちが花を摘んでいる
 Pflücken Lotosblumen an dem Uferrande.
  若耶渓のあたりで蓮の花を摘んでいる。
 Zwischen Büschen und Blättern sitzen sie,
  茂みや葉陰の中に座って
 Sammeln Blüten in den Schoß und rufen
  花々を膝上に集めて、大声で
 Sich einander Neckereien zu.
  互いにからかい合っている。

 Gold'ne Sonne webt um die Gestalten,
  金色の太陽が、その姿かたちを編んで
 Spiegelt sich im blanken Wasser wider,
  真っさらな水面に彼女たちを映している
 Sonne spiegelt ihre schlanken Glieder,
  太陽は映している、その細っそりとした手足
 Ihre süßen Augen wider,
  その甘い瞳を。
 Und der Zephir hebt mit Schmeichelkosen das Gewebe
  そして、そよ風がたおやかに織物を持ち上げる
 Ihrer Ärmel auf, führt den Zauber
  彼女たちの広袖を、それは魔法の手ほどき
 Ihrer Wohlgerüche durch die Luft.
  彼女たちの幸福な芳香が辺り一面に拡がる。

 O sieh, was tummeln sich für schöne Knaben
  ほら見て、美しい少年たちの騒々しいこと
 Dort an dem Uferrand auf mut'gen Rossen?
  水辺の辺りで豹変した馬に跨って。
 Weithin glänzend wie die Sonnenstrahlen;
  陽光のように輝きわたり
 Schon zwischen dem Geäst der grünen Weiden
  もう、緑の柳の枝の間を縫って
 Trabt das jungfrische Volk einher!
  若々しい仲間を連れて奔って来た!
 Das Roß des einen wiehert fröhlich auf
  少年の一人の馬が嬉しげにいななき
 Und scheut und saust dahin,
  そして飛び上がり、駆けてくる。
 Über Blumen, Gräser, wanken hin die Hufe,
  草花の上を、蹄で踏みつけ
 Sie zerstampfen jäh im Sturm die hingesunk'nen Blüten,
  倒れた花々を嵐のように掻き散らかす。
 Hei! Wie flattern im Taumel seine Mähnen,
  はあ!なんとそのたてがみが靡いていること
 Dampfen heiß die Nüstern!
  鼻息の熱いこと!

 Gold'ne Sonne webt um die Gestalten,
  金色の太陽が、その姿かたちを編んで
 Spiegelt sie im blanken Wasser wider.
  真っさらな水面に彼女たちを映している。
 Und die schönste von den Jungfrau'n sendet
  そして彼女たちの中でも一番の美少女が
 Lange Blicke ihm der Sehnsucht nach.
  彼に憧憬の眼差しをじっと注ぐ。
 Ihre stolze Haltung ist nur Verstellung.
  彼女の澄ました態度は見せかけ。
 In dem Funkeln ihrer großen Augen,
  そのつぶらな瞳の煌めきの中に
 In dem Dunkel ihres heißen Blicks
  そのあつい視線の暗がりの中に
 Schwingt klagend noch die Erregung ihres Herzens nach.
  彼女たちに生まれた鼓動が、なおも哀しく脈打っている。



で、何故かシャイーが録音していない「大地の歌」、信徒としては彷徨える訳ですが、ひとまずマゼール先生に仮住まいしています。雄弁なバイエルン放送交響楽団と、品のあるマイヤーの歌唱で、先生も上機嫌です。

mahler_lied_von_erde.jpg
 マーラー:大地の歌(1908)
  ベン・ヘップナー
  ヴァルトラウト・マイヤー
  ロリン・マゼール & バイエルン放送交響楽団

 1.地上の悲愁を詠える酒席の歌
 2.秋に独りいて淋しきもの
 3.青春について
 4.美しさについて
 5.春にありて酔えるもの
 6.告別


---

「大地の歌」の歌詞はデッサウ生まれの詩人ベートゲの「中国の笛」によるもので、音楽とともに当時のエクゾティシズムを反映しているとのこと。

僕もそんな気分に誘われながら、横浜中華街では物足りなくなって、バリ島を訪れたことがあります。ビーチのあるヌサ・ドゥア地区と内陸のウブド地区に宿泊し、アグン山の中腹にあるブサキ寺院にも立ち寄って来ました。(アグン山、警戒レベルが最高位に引き上げられてから1か月。14万人が未だ避難生活と大変ですが)

ブサキ寺院はバリ・ヒンドゥー教の総本山で、破壊神シヴァ、繁栄神ヴィシュヌ、創造神ブラフマのヒンドゥー三大神が中心に祀られています。日常的に儀式が執り行われているそうなので、下のような光景に出くわすことも珍しくないのでしょう。

pura_besakih.jpg
 ( www.bali.com/temples-religious-sites.html )


ウブドでは、昼はアート作品を探したり、疲れたら屋外のベッドに横になって風にあたって、夜はレゴンダンスを鑑賞したりとか... 現地ガイドにレゴンを見に行くんだと言ったら、"Oh, girls dance"と笑っていました。

今更、ガムランを載せても... とは思いますが、一応リンクしておきます。

 Javanese Gamelan Ensemble - Pelog Barang - Singa Nebah


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そのガムラン音楽、フランスでは1889年のパリ万国博覧会(モニュメントとしてエッフェル塔が建築された)で紹介され、これに触発された有名作品としては、ドビュッシー「版画…塔, 1903」、ラヴェル「マ・メール・ロワ…パゴダの女王レドロネット, 1910」が挙げられています。

スティーブン・オズボーンの新譜にも「版画」が入っているので、気になる方は聴いてみてください。(但し、この味見クリップは「映像 第1集…水の反映」です)


 Claude Debussy - Piano Music - Steven Osborne (piano)


また、現代曲では、クセナキス「エヴリアリ」、ケージ「マルセル・デュシャンのための音楽」が影響を指摘されていますが、確認されたい方の出口は こちら になります。

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アルマ・マーラーとマリア・ヴェルト [建物シリーズ]

美貌の才媛として知られるアルマ・マーラーの作品(歌曲)のほとんどは、1902年3月にグスタフと結婚する以前の1900〜1901年に書かれたものといいます。オケ伴奏の編曲版ですが、一曲。


Alma Mahler-Werfel „Bei Dir ist es traut" (Rilke) gesungen von Lucie Ceralova

 Bei dir ist es traut,
  君の傍では安らげる
 zage Uhren schlagen wie aus alten Tagen,
  微かな時計たちが刻を打つ、昔々からそうだったように
 komm mir ein Liebes sagen
  来て、僕に愛を告げてくれ
 aber nur nicht laut!
  でも、あまり声高にではなく!

 Ein Tor geht irgendwo
  門が開くと何処か
 draußen im Blütentreiben,
  戸外の漂う花々
 der Abend horcht an den Scheiben,
  夕べが、ガラス窓のところで耳を澄ましている
 laß uns leise bleiben,
  静かにじっとしていよう
 keiner weiß uns so!
  そうすれば誰も僕らに気付かない!



ツェムリンスキーに師事した作曲家としての才能はどうでしたか?


Kirchischlager.jpg
 アンゲリカ・キルヒシュラーガー
  デビューリサイタル レコーディング
  (1996年録音、ピアノ伴奏)

 コルンゴルド (1897 - 1957):5つの歌 op.38
 アルマ・マーラー (1879 - 1964):
  静かな町、父の庭、なま温かい夏の夜、
  おまえのもとでは打ち解けられる、ぼくは花のもとをさまよう
 コルンゴルド:道化の歌 op.29
 グスタフ・マーラー (1860 - 1911):若き日の歌


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1902年にマイアーニックの作曲小屋で執筆されたマーラーの第5交響曲では、アルマが写譜を手伝いながら、打楽器がメロディーを殺してると感じた箇所を示すと、グスタフがそれら邪魔なパートを即削除していった、というエピソードもあります。

そのマイアーニックのあるオーストリア南部 ヴェルター湖。その湖畔に佇むマリア・ヴェルトは、天使が降り立ったかのように美しい場所です。鉄道駅のあるペルチャッハ(ブラームスが第2交響曲、ヴァイオリン協奏曲、ヴァイオリンソナタ「雨の歌」を作曲した)の対岸にあり、湖を周遊している船で簡単に渡ることができます。

半島部の小高い丘には巡礼教会が建っていて、ここで結婚式を挙げるカップルは幸せですね。マーラー夫妻にもそういう時期があったのだと、思いを馳せてみるのも良いのではないでしょうか。

Maria_Woerth.jpg
 Maria Wörth(Wikipediaから)


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不公平になるといけないので、グスタフ・マーラーの「リュッケルトによる5つの歌曲 (1901 - 1902)」も載せます。混声合唱のための編曲版ですが、一曲。


 Ich bin der Welt abhanden gekommen - G. Mahler (Clytus Gottwald)

 Ich bin der Welt abhanden gekommen,
  私はこの世に捨てられて
 Mit der ich sonst viele Zeit verdorben,
  そこで、多くの時間を無駄にした
 Sie hat so lange nichts von mir vernommen,
  もう長いこと私の消息が無いから
 Sie mag wohl glauben, ich sei gestorben!
  私は死んでしまったものと、すっかり思われているだろう!

 Es ist mir auch gar nichts daran gelegen,
  そんなことは私には関係の無いこと
 Ob sie mich für gestorben hält,
  私が死んだと思われようと
 Ich kann auch gar nichts sagen dagegen,
  私には否定できないもの
 Denn wirklich bin ich gestorben der Welt.
  だって、この世で本当に死んでしまってるのだから

 Ich bin gestorben dem Weltgetümmel,
  この世の喧騒からは死んでしまって
 Und ruh' in einem stillen Gebiet!
  そして、静かな所で憩うている!
 Ich leb' allein in meinem Himmel,
  私は一人生きている、私の天空の中に
 In meinem Lieben, in meinem Lied!
  私の愛の中に、私の歌の中に!



有名なアダージェットは聞こえましたか?


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p.s.
マーラーの録音に関しては、僕はシャイー信徒で、コンセルトヘボウとのもので事足りているのだけれど、2005〜2016年までカペルマイスターを務めたゲヴァントハウスとの Blu-ray Discもあるんですね。10年間コンビを組んで、シャイーのカラーに染まっているのが面白いな。


Riccardo Chailly & Gewandhaus Orchestra Leipzig - Mahler Symphony No. 7
 (cover : "Die Erste" by Neo Rauch, 2015)

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