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大地の歌とブサキ寺院 [建物シリーズ]

フリッツ・ヴンダーリッヒの「Dunkel ist das Leben, ist der Tod (暗きは生、そして死も)」で首根っこをつかまれ、クリスタ・ルートヴィヒの「Ewig... ewig... (永遠に... 永遠に... )」でとどめを刺される。それは、オットー・クレンペラーの振った「大地の歌 (Das Lied von der Erde)」のこと。

マーラーのこの退廃音楽が中坊に厭世観を植え付けるのは容易いもので、その後はすっかりJonny Rotten化して"腐れて"いた野良犬を、拾ってくれたのが私立恵比寿中学の「穴空…夏だぜジョニー」でした。そんな訳で「美について」。


 G.Mahler-Yoon Kuk Lee: Das Lied von der Erde - Von der Schönheit
 (Salzburger Kammerphilharmonie at the Mozarteum)

 "Von der Schönheit"
  "美について"(李白の詩「採蓮曲」による)

 Junge Mädchen pflücken Blumen,
  若い娘たちが花を摘んでいる
 Pflücken Lotosblumen an dem Uferrande.
  若耶渓のあたりで蓮の花を摘んでいる。
 Zwischen Büschen und Blättern sitzen sie,
  茂みや葉陰の中に座って
 Sammeln Blüten in den Schoß und rufen
  花々を膝上に集めて、大声で
 Sich einander Neckereien zu.
  互いにからかい合っている。

 Gold'ne Sonne webt um die Gestalten,
  金色の太陽が、その姿かたちを編んで
 Spiegelt sich im blanken Wasser wider,
  真っさらな水面に彼女たちを映している
 Sonne spiegelt ihre schlanken Glieder,
  太陽は映している、その細っそりとした手足
 Ihre süßen Augen wider,
  その甘い瞳を。
 Und der Zephir hebt mit Schmeichelkosen das Gewebe
  そして、そよ風がたおやかに織物を持ち上げる
 Ihrer Ärmel auf, führt den Zauber
  彼女たちの広袖を、それは魔法の手ほどき
 Ihrer Wohlgerüche durch die Luft.
  彼女たちの幸福な芳香が辺り一面に拡がる。

 O sieh, was tummeln sich für schöne Knaben
  ほら見て、美しい少年たちの騒々しいこと
 Dort an dem Uferrand auf mut'gen Rossen?
  水辺の辺りで豹変した馬に跨って。
 Weithin glänzend wie die Sonnenstrahlen;
  陽光のように輝きわたり
 Schon zwischen dem Geäst der grünen Weiden
  もう、緑の柳の枝の間を縫って
 Trabt das jungfrische Volk einher!
  若々しい仲間を連れて奔って来た!
 Das Roß des einen wiehert fröhlich auf
  少年の一人の馬が嬉しげにいななき
 Und scheut und saust dahin,
  そして飛び上がり、駆けてくる。
 Über Blumen, Gräser, wanken hin die Hufe,
  草花の上を、蹄で踏みつけ
 Sie zerstampfen jäh im Sturm die hingesunk'nen Blüten,
  倒れた花々を嵐のように掻き散らかす。
 Hei! Wie flattern im Taumel seine Mähnen,
  はあ!なんとそのたてがみが靡いていること
 Dampfen heiß die Nüstern!
  鼻息の熱いこと!

 Gold'ne Sonne webt um die Gestalten,
  金色の太陽が、その姿かたちを編んで
 Spiegelt sie im blanken Wasser wider.
  真っさらな水面に彼女たちを映している。
 Und die schönste von den Jungfrau'n sendet
  そして彼女たちの中でも一番の美少女が
 Lange Blicke ihm der Sehnsucht nach.
  彼に憧憬の眼差しをじっと注ぐ。
 Ihre stolze Haltung ist nur Verstellung.
  彼女の澄ました態度は見せかけ。
 In dem Funkeln ihrer großen Augen,
  そのつぶらな瞳の煌めきの中に
 In dem Dunkel ihres heißen Blicks
  そのあつい視線の暗がりの中に
 Schwingt klagend noch die Erregung ihres Herzens nach.
  彼女たちに生まれた鼓動が、なおも哀しく脈打っている。



で、何故かシャイーが録音していない「大地の歌」、信徒としては彷徨える訳ですが、ひとまずマゼール先生に仮住まいしています。雄弁なバイエルン放送交響楽団と、品のあるマイヤーの歌唱で、先生も上機嫌です。

mahler_lied_von_erde.jpg
 マーラー:大地の歌(1908)
  ベン・ヘップナー
  ヴァルトラウト・マイヤー
  ロリン・マゼール & バイエルン放送交響楽団

 1.地上の悲愁を詠える酒席の歌
 2.秋に独りいて淋しきもの
 3.青春について
 4.美しさについて
 5.春にありて酔えるもの
 6.告別


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「大地の歌」の歌詞はデッサウ生まれの詩人ベートゲの「中国の笛」によるもので、音楽とともに当時のエクゾティシズムを反映しているとのこと。

僕もそんな気分に誘われながら、横浜中華街では物足りなくなって、バリ島を訪れたことがあります。ビーチのあるヌサ・ドゥア地区と内陸のウブド地区に宿泊し、アグン山の中腹にあるブサキ寺院にも立ち寄って来ました。(アグン山、警戒レベルが最高位に引き上げられてから1か月。14万人が未だ避難生活と大変ですが)

ブサキ寺院はバリ・ヒンドゥー教の総本山で、破壊神シヴァ、繁栄神ヴィシュヌ、創造神ブラフマのヒンドゥー三大神が中心に祀られています。日常的に儀式が執り行われているそうなので、下のような光景に出くわすことも珍しくないのでしょう。

pura_besakih.jpg
 ( www.bali.com/temples-religious-sites.html )


ウブドでは、昼はアート作品を探したり、疲れたら屋外のベッドに横になって風にあたって、夜はレゴンダンスを鑑賞したりとか... 現地ガイドにレゴンを見に行くんだと言ったら、"Oh, girls dance"と笑っていました。

今更、ガムランを載せても... とは思いますが、一応リンクしておきます。

 Javanese Gamelan Ensemble - Pelog Barang - Singa Nebah


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そのガムラン音楽、フランスでは1889年のパリ万国博覧会(モニュメントとしてエッフェル塔が建築された)で紹介され、これに触発された有名作品としては、ドビュッシー「版画…塔, 1903」、ラヴェル「マ・メール・ロワ…パゴダの女王レドロネット, 1910」が挙げられています。

スティーブン・オズボーンの新譜にも「版画」が入っているので、気になる方は聴いてみてください。(但し、この味見クリップは「映像 第1集…水の反映」です)


 Claude Debussy - Piano Music - Steven Osborne (piano)


また、現代曲では、クセナキス「エヴリアリ」、ケージ「マルセル・デュシャンのための音楽」が影響を指摘されていますが、確認されたい方の出口は こちら になります。

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